その永遠の一秒に

『その永遠の一秒に 〜The Moment Of The Moment〜』は、1993年9月6日にリリースされた浜田省吾の13枚目のオリジナルアルバムです。前作『誰がために鐘は鳴る』から3年ぶりとなる本作は、全体的に重苦しい雰囲気の世界観が描かれており、前作の延長線上にある作品と評されています。サウンドプロデュースは星勝と梁邦彦の二人が担当し、全編に渡りシンセサイザーを導入。これまでの自身のバンドメンバー中心の制作から、一流のスタジオミュージシャンを集めてレコーディングするスタイルへと変化を遂げました。

アルバム発売前年の1992年には、テレビドラマ『愛という名のもとに』の主題歌として「悲しみは雪のように」が170万枚を超える大ヒットを記録しましたが、浜田省吾自身は活動を休止していました。先行シングルは発売されませんでしたが、アルバム発売後の1994年4月25日に「星の指輪」がシングルカットされました。

アルバムのジャケットは、アメリカで撮影されました。海辺の崖の上で、サングラスを外した浜田が空を仰いでいる構図で、撮影を手掛けた田島照久は、特に気に入っている作品だと語っています。

本作はオリコンチャートで初登場1位を記録し、70万枚以上を売り上げました。1996年時点での累計売上は895,860枚となっています。

収録曲は以下の通りです。

1. 境界線上のアリア
2. 傷だらけの欲望
3. 最後のキス
4. 悲しみ深すぎて
5. ベイ・ブリッジ・セレナーデ
6. こんな気持のまま
7. 星の指輪
8. 裸の王達
9. 初秋

楽曲解説

境界線上のアリア: シンセサイザーとホーンセクションを大々的に導入したダンスナンバー。今日一日を生き抜くことで、苦悩を乗り越えるというメッセージが込められています。曲名は「G線上のアリア」に由来します。
傷だらけの欲望: 曲の冒頭に前曲の終わり部分が聞こえるのが特徴です。ただし、非売品サンプル8cmCDでは、本曲がトラック1に収録されているため、この部分は聞こえません。
最後のキス:
悲しみ深すぎて: 1977年の2ndアルバム『LOVE TRAIN』収録曲のセルフカバーです。
ベイ・ブリッジ・セレナーデ: 横浜を舞台にしたアカペラソング。
こんな気持のまま: オールディーズ風のポップナンバーで、1970年代からライブで披露されていた楽曲です。当時は「帰れない帰さない」というタイトルで歌われていました。「星の指輪」のシングルカット時にカップリング曲として収録されました。
星の指輪: ファンからの人気も高いバラードで、アルバム発売後にシングルカットされました。
裸の王達: 環境破壊や人間のエゴをテーマにした楽曲で、2010年のベストアルバム『The Best of Shogo Hamada vol.3 The Last Weekend』にも収録されています。
初秋:

アルバム制作には、以下のミュージシャンが参加しています。

All Tracks Keyboards：梁邦彦
All Tracks Basic Built by 梁邦彦 with 桑島幻矢
All Tracks Sound Color Co-ordinated by 浦田恵司
* All Tracks Chorus Arrangement & Chorus：町支寛二, 浜田省吾

関連情報として、横浜が舞台の楽曲を集めたコンピレーションアルバム『横浜幻想（ヨコハマ・ファンタジー）』に「ベイ・ブリッジ・セレナーデ」が収録されています。

本作は、浜田省吾の音楽性の幅広さを示す重要な作品として、多くのファンに愛されています。

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