そよ風のくちづけ

そよ風のくちづけ

「そよ風のくちづけ」は、日本の人気アイドルグループ、キャンディーズが1974年1月21日に発表した通算2枚目のシングルとして知られる楽曲です。彼女たちのキャリア初期において、その存在感を示す重要な作品となりました。

楽曲の背景と変遷

この楽曲は、単なる新規発表曲ではなく、そのルーツを遡ることができます。元となったのは、キャンディーズが1973年12月5日にリリースした初めてのオリジナルアルバム『あなたに夢中〜内気なキャンディーズ〜』に収められていた「盗まれたくちづけ」という楽曲です。このアルバムバージョンが好評を博したことを受け、「そよ風のくちづけ」とタイトルを改め、新たなアレンジを加えてシングルカットされる運びとなりました。

シングルとして陽の目を見た後も、「そよ風のくちづけ」は引き続きキャンディーズの主要な楽曲として扱われます。1974年6月21日に発売されたセカンドアルバム『危い土曜日〜キャンディーズの世界〜』には、シングルのカップリング曲である「桜草のかなしみ」と共に収録されています。これは、本楽曲がグループにとって重要な位置づけにあったことを示唆しています。

制作陣と収録曲

シングル「そよ風のくちづけ」に収録された両楽曲は、作詞を山上路夫、作曲を森田公一、編曲を穂口雄右という、当時の日本の歌謡界を代表するクリエイター陣が手掛けています。彼らはキャンディーズの多くのヒット曲に貢献しており、本作もその才能が光る一曲と言えます。

シングル盤には、タイトル曲である「そよ風のくちづけ」（演奏時間3分3秒）と、カップリング曲の「桜草のかなしみ」（演奏時間2分47秒）が収められています。両曲とも、三人のメンバーの瑞々しい歌声と、穂口雄右による巧みな編曲が特徴的です。

商業的成果と評価

「そよ風のくちづけ」は、キャンディーズのキャリアを通じて一定の売上を記録しました。グループが解散するまでの累計売上は、当時の所属レコード会社であるCBSソニーの調べによれば11万枚に達しています。これは、大ヒットとまでは言えないかもしれませんが、当時のアイドルシングルとしては着実なセールスであり、彼女たちが着実にファンを増やしていった過程を物語る数字と言えるでしょう。

また、この楽曲はそのサウンド面でも注目を集めました。特に、1959年にアメリカのコーラスグループ、ドリフターズがヒットさせた楽曲「(If You Cry) True Love, True Love」との類似性が指摘されることがあります。これは、当時の日本の歌謡曲が海外の音楽から様々な影響を受けていた一例として興味深い点です。

さらに、「そよ風のくちづけ」およびその原曲「盗まれたくちづけ」には複数のバージョンが存在することが確認されています。「盗まれたくちづけ」としては4種類のバージョンが、「そよ風のくちづけ」としては2種類のバージョンが存在するとされており、合計で6つの異なるテイクが確認されています。これらのバージョン違いは、制作過程における試行錯誤や、異なる媒体への収録などに起因するものと考えられ、ファンの間では研究対象となることもあります。

後世への影響

「そよ風のくちづけ」は、キャンディーズの楽曲の中でも特に初期の代表曲として、後世のアーティストにも歌い継がれています。例えば、ハロー!プロジェクト出身のアイドルグループであるTHE ポッシボーが、2007年にリリースしたシングル『主食=GOHANの唄』の中でこの楽曲をカバーしています。これは、時代を超えて本楽曲が持つ魅力が受け継がれている証と言えるでしょう。

総じて、「そよ風のくちづけ」は、キャンディーズの初期の音楽性を理解する上で欠かせない一曲であり、原曲からの変遷、クリエイター陣の仕事、そしてその後の影響に至るまで、様々な側面から語られるべき楽曲と言えます。その爽やかなメロディと歌詞は、多くの人々の心に今なお鮮やかに残っています。

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