たいよう (キリン)

義足のキリン、たいよう

たいようは、秋田県秋田市の大森山動物園で暮らしていたアミメキリンです。骨折した脚を切断し、義足を装着したことがメディアで大きく取り上げられ、「義足のキリンたいよう」として多くの人に知られるようになりました。

生涯

誕生

2001年 8月19日早朝、たいようはオスであるジュンとメスのモモの間に、2頭目の子供として誕生しました。大森山動物園では9番目のキリンの赤ちゃんとして迎えられました。

名付け親

2001年 9月23日、動物園で開催された動物愛護フェスティバルにて、たいようの名前が決定しました。秋田市立大住小学校の5年生が選んだ5つの候補の中から、来園者の投票によって選ばれました。

骨折

2002年 3月24日昼頃、たいようは運動場で右脚中手骨を骨折してしまいます。3本脚で歩きながらも、なんとか自分の寝室に戻りました。

緊急手術とギプス固定

同日午後、麻酔による緊急手術が行われ、骨折した部分をギプスで固定しました。手術後1週間ほどは状態も良好でした。

断脚の決断

しかし、4月に入ると、たいようは脚に体重がかかるのを嫌がるようになります。鎮痛剤や抗炎症剤、抗生物質などが投与されましたが、壊死の可能性が出てきたため、5月7日に断脚という苦渋の決断が下されました。

断脚手術と義足装着

5月14日、麻酔下での断脚・義足の装着手術が実施されました。しかし、傷口の壊死が確認されます。

- 12時30分頃：麻酔投与、患肢除去、義足装着。覚醒後、起立を試みるも義足が脱落。再度麻酔をかけ、保定。
- 18時頃：人間の介助で起立に成功。義足の脱落は見られず。母親との面会も果たし、哺乳も行いました。

この時装着された義足は仮のもので、直径約10cmの青竹を芯に、ギプス用のキャスティングテープを巻き、さらに冬用の防寒靴を外に巻き付けてバインド線で固定して製作されました。ゴムを靭帯の代わりに、関節の周りに巻くことで、義足と健常な脚を接続しました。

義足の再装着

5月25日夕方、義足が大きくずれていることが確認され、麻酔下での再装着が行われました。

新しい義足の型取り

6月18日には、麻酔をかけての経過観察と、新しい義足のための型取りが実施されました。

- 12時42分：麻酔薬を投与。仮義足を外して患部を処置し、義足の型取りを実施。
- 13時29分：麻酔の拮抗剤を投与。
- 14時5分：起立時に、関節部が損傷したのか不安定な歩行となる。
- 14時19分：再度麻酔をかけて関節部をギプスで固定。
- 15時52分：拮抗剤投与するが起立できず。

突然の死

2002年 6月18日の経過観察から2日後の6月20日20時20分、たいようは短い生涯を終えました。

お別れ会

6月23日には、「たいようとのお別れ会」が実施され、秋田市長の佐竹敬久氏、多くの小学校児童、そして約700人の市民が参列しました。

異母妹「ひまわり」の悲劇

2007年 6月20日、大森山動物園では、たいよう以来となるキリンの赤ちゃんが生まれました。このメスのキリンは、たいようの父であるジュンと、メスのリリカ（2002年 6月21日、盛岡市動物公園生まれ）との間に生まれたため、たいようの異母妹にあたる「ひまわり」と名付けられました。

しかし、ひまわりは体が小さく、成長の遅れが見られました。さらに、獣医を主役とする漫画『ワイルドライフ』のテレビドラマ化に際し、たいようをモデルにしたキリンを救うエピソードの撮影が動物園で行われたことが、悲劇を招きます。撮影のために、乳離れして間もないひまわりを母親のリリカから初めて離したところ、リリカにストレスによる症状が見られ、撮影が中断されました。撮影終了後、ひまわりも弱った様子を見せ、その後リリカが急死、ひまわりもその数日後に死亡してしまいます。

番組撮影が2頭の死の原因となった可能性も指摘されていますが、詳しい原因は不明です。NHKは第3話の放送を中止し、番組は短縮されました。

たいようの足跡

秋田市大森山動物園の正面入口には、たいようのオブジェが設置され、園内にはたいように関するパネル展示があります。また、園内遊園地のジェットコースターは「きりんたいようくん」と呼ばれており、遊園地「アソヴェの森」には「たいようの塔」が建てられています。たいようは今もなお、大森山動物園のシンボルとして人々に愛され続けています。

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