たくぎん野球部

たくぎん野球部：北の大地を駆け抜けた名門企業チーム

たくぎん野球部は、かつて北海道札幌市に本拠地を置き、日本野球連盟に加盟していた社会人野球の企業チームです。運営母体は、都市銀行であった北海道拓殖銀行（通称：拓銀）でした。1950年に創部し、1996年に惜しまれつつ解散しました。

創部から全国へ

1950年5月、『北海道拓殖銀行野球部』として産声を上げたチームは、1955年頃から本格的な強化に着手します。その努力が実を結び、1957年には都市対抗野球に初出場を果たしました。1964年からは1970年まで、7年連続で都市対抗に出場するという輝かしい記録を打ち立てました。

1969年には、産業対抗野球で頂点に立ち、社会人野球の2大大会（都市対抗と産業対抗）において、初めて優勝旗を北海道にもたらすという偉業を成し遂げました。これは、北海道の野球史に燦然と輝く金字塔と言えるでしょう。

1976年には、都市対抗野球で準優勝。そして1978年には、社会人野球日本選手権で悲願の初優勝を飾りました。これらの実績により、たくぎん野球部は「北海道5強」の一角として、全国大会でその名を轟かせました。

チーム名変更と終焉

1992年、チーム名を『たくぎん野球部』に改称。翌1993年から3年連続で都市対抗に出場しましたが、1995年末に母体である北海道拓殖銀行の経営悪化が深刻化し、野球部を含む運動部全体の休部が決定しました。1996年の都市対抗野球北海道予選を最後に、チームは活動を停止。22名いた部員の多くは、シダックス、サンワード貿易、王子製紙苫小牧など、他の企業チームへと移籍しました。

そして翌1997年、長年北海道の経済を支えてきた北海道拓殖銀行は、経営破綻という形でその歴史に幕を閉じました。

主要大会の出場歴と成績

都市対抗野球大会：出場20回、準優勝1回（1976年）
日本産業対抗野球大会：出場4回、優勝1回（1969年）
社会人野球日本選手権大会：出場10回、優勝1回（1978年）
JABA北海道大会：優勝4回（1959年、1960年、1965年、1971年）

プロ野球選手

数々の名選手を輩出した事も特筆すべき点です。

榎本直樹（投手）：1971年ドラフト2位でヤクルトアトムズに入団
千藤三樹男（外野手）：1971年ドラフト7位で東映フライヤーズに入団
原田末記（投手）：1978年ドラフト1位でヤクルトスワローズに入団
中村弘道（投手）：1985年ドラフト2位で南海ホークスに入団
吉田修司（投手）：1988年ドラフト1位で読売ジャイアンツに入団
佐藤真一（外野手）：1992年ドラフト4位で福岡ダイエーホークスに入団
吉井晃（投手）：1992年ドラフト6位で横浜ベイスターズに入団

その後

山本文博（内野手） - 休部後星槎道都大学、札幌国際大学監督
田中善則（内野手） - 休部に伴いシダックスに移籍し、1999年の第26回社会人野球日本選手権大会で最高殊勲選手賞を受賞
横山靖史（外野手） - 休部後酪農学園大学外部コーチの後2022年より監督
岩田哲明 - 休部後小樽野球協会総監督
大滝敏之 - 引退後本野球部最後の監督を務めた後、1999年より苫小牧駒澤大学（現・北洋大学）監督

関連項目

社会人野球チーム一覧
都市対抗野球大会 (北海道勢)
白髪良一
イオンモール札幌平岡 - 自社野球場跡地に建設。

たくぎん野球部の歴史は、北海道の社会人野球の隆盛を語る上で欠かすことのできない重要な一部です。その栄光と終焉は、多くの人々の記憶に深く刻まれています。

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