たたかう警官

タイトル: たたかう警官

『たたかう警官』は、元北海道警釧路方面本部長・原田宏二の著書であり、元々は『警察内部告発者』というタイトルで講談社から出版されていました。この作品は、再刊の際に改題・加筆され、読者に新たな視点からの警察内部の事情を提供しています。著者は、北海道警における裏金事件を暴露した実名告発者として、自らの経験をもとに、警察組織の背後に潜む問題を明らかにしています。

内容の概要

本書は「稲葉事件」という特定の出来事を契機に、著者が取材活動や報道機関への告発を決心するに至った経緯を詳細に描いています。事件は北海道警内の不正行為や腐敗の一端を示すもので、当時の警察機関がどのようにこの問題に対処したのか、道議会や国会での動きについても述べられています。著者は、官僚的な体質を持つ警察組織に対し、強い批判を展開しており、権力の保持がどのように不正を生むのかという視点から考察しています。

追加情報

また、本書のあとがきでは、著者が道警をモデルにした警察小説を書く作家である佐々木譲に言及している点も注目に値します。これは、文壇から警察というテーマがどのように扱われているかを示すものであり、警察制度の問題を広く伝えるための試みとも言えるでしょう。

改題前の原著には、弁護士の清水勉やジャーナリストの大谷昭宏が寄稿しており、特に清水は群馬県警元警部補の懲戒免職処分取消請求訴訟に関する見解を述べています。これにより、警察組織の多様な問題が浮き彫りになると同時に、法律やジャーナリズムとの関連も考察されています。

さらに文庫版のあとがきには、警察現場における「捜査報償費」という予算の存在が取り上げられており、著者自身もこの制度についてあまり理解していなかったことを告白しています。この点は、警察の内部構造に対する無知や無関心が、どれほど危険なものであるかを物語っています。

全体を通じて、『たたかう警官』は単なる告発書を超え、北海道警の実態を浮き彫りにし、読者に深い考察を促す内容となっています。読者は、著者の経験を通じて、現代の警察が抱える問題についての洞察を得ることができるでしょう。

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