だから君が好き

スレイド「だから君が好き（Coz I Luv You）」解説

「だから君が好き」（原題: Coz I Luv You）は、イギリスのロックバンド、スレイドが1971年に発表した楽曲。バンドにとって初の全英シングルチャート1位を獲得し、その後の躍進の足がかりとなった重要な作品です。

楽曲の特徴

この曲の大きな特徴は、原題のスペルミス。本来「Because I Love You」と表記されるべきところを、意図的に「Coz I Luv You」と崩した表記にしています。これは、当時のスレイドのメンバーであるノディ・ホルダーが、ブラック・カントリー地方の方言を取り入れることを提案したことによるものです。

楽曲自体は、ベーシストのジム・リーが演奏するヴァイオリンが印象的な、ポップでキャッチーなロックンロール・ナンバー。ジム・リーは、ジョン・ダマー・ブルーズ・バンドの「Nine by Nine」を聞いた後、ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリの「Hot Club」に影響を受けた楽曲を書くことを提案し、この曲のアイデアが生まれました。

制作の背景

スレイドは、1971年5月にボビー・マーチャンのカバー曲「Get Down Get With It」をリリースし、商業的な成功を収めていました。しかし、同時期にライブ・パフォーマンスに対する評価が高まるにつれ、オリジナルの楽曲を求める声も高まっていました。そこで、チャス・チャンドラーがバンドにオリジナルの楽曲を提案し、ノディ・ホルダーとジム・リーによって本作が制作されることになったのです。

リリースと評価

「だから君が好き」は、1971年にシングルとしてリリースされると、瞬く間にイギリスの音楽シーンを席巻。全英シングルチャートで2週連続1位を獲得し、スレイドは一躍人気バンドとなりました。しかし、メンバーのジム・リーは当初、この曲をアルバムのための使い捨ての曲と考えており、その成功に驚いたと語っています。

その後

「だから君が好き」は、スレイドの代表曲の一つとして、その後も様々な形で使用されています。映画『ベルベット・ゴールドマイン』や『時空刑事1973 ライフ・オン・マーズ』などのサウンドトラックに起用されたほか、フォード・トランジットの販促キャンペーンにも使用されました。また、アラン・キャディー・オーケストラやワンダー・スタッフなど、数多くのアーティストによってカバーされています。

メンバー

ノディ・ホルダー - リード・ボーカル、リズムギター
デイヴ・ヒル - リードギター、バッキング・ボーカル
ジム・リー - ベース、ヴァイオリン、バッキング・ボーカル
ドン・パウエル - ドラム

まとめ

「だから君が好き」は、スレイドのキャリアを決定づけた重要な楽曲であり、1970年代のグラムロック・シーンを代表する一曲として、今もなお多くの人々に愛され続けています。スペルミスという奇抜なアイデアと、キャッチーなメロディー、そしてジム・リーのヴァイオリンが織りなす独特のサウンドは、スレイドならではの魅力と言えるでしょう。

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