だから青春 泣き虫甲子園

だから青春 泣き虫甲子園：廃部寸前野球部の再生と家族の絆

1983年、NHK少年ドラマシリーズの最終作として放送された『だから青春 泣き虫甲子園』は、あだち充・やまさき十三の漫画『ああ!青春の甲子園』を原作とする青春ドラマです。全13話にわたって、弱小野球部の再生と、登場人物たちの成長、家族の絆が丁寧に描かれています。

物語の中心となるのは、大友旭という少年です。医師である父親のアメリカ赴任に伴い、父親の親友である園田竜之介の家に下宿することになります。旭は、竜之介が春の選抜高校野球大会で準優勝した陽明高校の監督だと勘違いしており、陽明高校への転校を計画していました。しかし、実際には竜之介は進学校の青葉高校の監督であり、野球部は部員7名という廃部寸前の状態であることが判明します。

この衝撃的な事実を知った旭は、それでも青葉高校に入学。廃部寸前の野球部を立て直すため、部員集めや練習に励みます。一方、竜之介の娘である夏子は、野球に夢中だった父を許せず、野球そのものを嫌っています。しかし、旭との交流を通して、次第に父親や野球に対する考えを改めるようになっていきます。

ドラマには、旭をはじめとする個性豊かな登場人物たちが登場します。野球部員たちはそれぞれに悩みや葛藤を抱えながらも、チームとして一つになっていきます。夏子をはじめとする女子生徒たちも、野球部員の成長を支え、物語に彩りを添えます。竜之介とその家族、そして周りの大人たちも、それぞれの立場から登場人物たちを支え、物語を複雑で奥深いものとしています。

『だから青春 泣き虫甲子園』は、単なる野球ドラマではありません。青春の葛藤や友情、家族愛、そして成長という普遍的なテーマを、高校野球という舞台を通して描いた作品です。それぞれの登場人物が抱える問題や、その解決への過程が丁寧に描かれているため、視聴者は登場人物たちの感情移入しやすく、彼らの成長を共感しながら見ることができます。

キャスト陣も豪華で、大友旭役には新田純一、園田夏子役には菊地陽子、そしてその他多くの若手俳優たちが、それぞれの役柄を見事に演じています。ベテラン俳優陣も脇を固め、作品全体のクオリティを高めています。

さらに、挿入歌にも注目です。永瀬正敏、森尾由美、菊地陽子など、出演者自身による歌声が物語に深みを与えています。これらの歌は、ドラマの雰囲気を盛り上げ、視聴者の感情を揺さぶる役割を果たしています。

『だから青春 泣き虫甲子園』は、単なる娯楽作品としてだけでなく、青春時代を振り返る、または青春時代を過ごしている人々にとって、深く心に響く作品と言えるでしょう。NHK少年ドラマシリーズの最終作にふさわしい、感動と余韻を残す名作です。DVDも発売されているので、興味のある方はぜひご覧になってください。

もう一度検索