だれもがクジラを愛してる。

映画「だれもがクジラを愛してる。」：奇跡のクジラ救出劇

『だれもがクジラを愛してる。』（原題: Big Miracle）は、2012年に公開されたアメリカ映画で、1988年にアラスカ州で実際に起きたコククジラの救出作戦を題材としています。トム・ローズによる同名のノンフィクション作品を原作とし、ドリュー・バリモアが主演を務めています。

ストーリーの概要

1988年10月、アラスカ州バローで、テレビリポーターのアダムは偶然にも3頭のコククジラが厚い氷の下に閉じ込められているのを発見します。クジラたちは海から8キロも離れた場所で氷に閉ざされ、息継ぎをするための穴を確保しなければ命を落とす危機に瀕していました。

動物に関するニュースが世間の関心を引くと考えたアダムは、自身のキャリアアップのためにこの出来事を報道します。すると、彼の元恋人で環境保護団体「グリーンピース」の活動家であるレイチェルから連絡が入ります。レイチェルはクジラ救出を強く主張しますが、地元のイヌピアット先住民族がクジラを食用に捕獲する可能性を懸念し、州知事に協力を求めるも断られてしまいます。

しかし、事態は意外な方向に進みます。石油採掘会社の社長夫人が救出作戦に協力すると申し出たのです。石油会社は環境保護団体への貸しを作り、今後の採掘事業への批判を抑えたいという思惑がありました。こうしてレイチェルは救出に必要な機材を手にします。さらにメディアを巧みに利用し、救出作戦への世界中の関心を集めることに成功します。

世論が救出作戦に注目していることを知った州知事は態度を一変させ、協力を申し出ます。州兵部隊がヘリコプターでホバーバージを移動させることになり、救出作戦は本格的に始動します。ついには、アメリカ合衆国大統領であるロナルド・レーガンもこの作戦に協力を表明します。大統領選挙を控えたレーガン陣営は、この作戦を大統領のイメージアップに利用しようと躍起になっていました。

一方、クジラを捕獲しようとしていたイヌピアックたちは、救出作戦が世界的な注目を集めている現状を踏まえ、捕鯨を強行すべきか悩んでいました。アダムは、この状況で捕鯨を行えば今後の狩猟活動に支障が出ると族長に進言します。族長はアダムの意見を受け入れ、民族のために救出作戦に協力することを決定します。

様々な思惑が交錯する中、救出作戦は順調に進んでいるかに見えましたが、ホバーバージが氷の穴に落下してしまうというアクシデントが発生します。救出チームは途方に暮れますが、地元住民たちが立ち上がり、さらに意外な人物からの協力もあり、再び希望の光が見え始めます。

多様な人々の思惑

この映画では、クジラを救出しようとする人々の純粋な気持ちだけでなく、それぞれの立場や思惑が描かれています。テレビリポーターは自身のキャリアアップ、環境保護活動家は信念、石油会社は企業イメージ、大統領は選挙戦略、先住民は伝統と生活。それぞれの思惑が複雑に絡み合いながらも、最終的にはクジラを救うという共通の目標に向かって進んでいきます。この点が、この映画を単なる動物救出劇以上のものにしています。

感動と希望

「だれもがクジラを愛してる。」は、困難な状況下でも諦めずに立ち向かう人々の姿を描いた感動的な作品です。様々な困難を乗り越え、最終的にクジラたちが無事に海に帰っていく姿は、観る者に勇気と希望を与えてくれます。実話に基づいたこの物語は、人々の協力と愛の力を強く感じさせてくれます。

映画の魅力

この映画は、壮大な自然の中で繰り広げられる救出劇を、迫力ある映像で描いている点が魅力です。また、ドリュー・バリモアをはじめとするキャストの熱演も、物語に深みを与えています。実話を基にしているため、観客は物語に引き込まれ、登場人物たちと一緒に感動を味わうことができます。

参考文献

トム・ローズ『だれもがクジラを愛してる。』（原作）

外部リンク

だれもがクジラを愛してる。 - allcinema
* Big Miracle - IMDb（英語）

もう一度検索