ちょうちん (映画)

『ちょうちん』 - 映画の紹介

概要

『ちょうちん』は、1987年に陣内孝則の主演、梶間俊一の監督により公開されたヤクザ映画です。本作は、1983年公開の『竜二』の後、急逝した金子正次が病床で執筆した遺作を映画化したものです。これまでの金子正次の脚本を元にした作品においては、『竜二』と『チ・ン・ピ・ラ』に続く三作目となります。

映画は新宿の歌舞伎町を舞台に、病に侵されながらもヤクザとして毅然と生きる若者の痛烈な人生を、揺れるちょうちんに託して表現しています。金子正次の思いを詰め込んだ本作は、彼の感情的な遺書と見なされています。

ストーリー

舞台は三東会に属するヤクザ、村田千秋を中心に描かれます。千秋は新宿を拠点に、若衆の幸三、哲、誠を引き連れて日々を過ごしています。彼らは贅沢な車を乗り回すものの、実態は小さな悪事やカツアゲに明け暮れています。組の幹部たちからは小突かれ、その立場に苦しんでいます。

ある晩、ポルノショップの立退きを成功させた後、千秋はクラブ「峰」で新たなホステス、新子に出会います。しかし、次の日、彼女は別の店に誘われ、千秋との運命の糸は少しずつ交差していきます。新子の部屋に行くと、彼女の5歳の息子アキラが留守番をしていて、物語は新たな展開を見せます。

千秋は新子との関係を深めますが、彼の妹涼子が独り立ちを決意する中、千秋は商売上の問題に直面します。競争相手の花木との確執や、自らの運命的な病気も重なり、彼の精神と肉体は追い詰められていきます。千秋は数々の困難に直面しながらも、新子との絆を維持しつつ、ヤクザとしての道を歩み続けますが、最終的に運命は彼を試すことになります。

スタッフ

• - 監督: 梶間俊一
• - 製作者: 櫻井五郎、元村武、大谷晴通
• - 音楽: エヴァン・ルーリー
• - 脚本: 梶間俊一、縞五郎
• - 撮影: 鈴木達夫

キャスト

• - 村田千秋: 陣内孝則
• - 新子: 石田えり
• - 幸三: 渡辺正行
• - 村田涼子: 新田恵利
• - 町田: 原田芳雄
• - 花木: 内藤剛志

製作の背景

金子正次の死後、彼のファンから映画化の要望が高まり、監督の梶間俊一と製作を希望する動きが始まりました。しかし、資金不足に直面し、製作が危ぶまれる時期もありました。それでも主演に陣内が決まると、制作は一気に進行しました。この経緯から、本作は高評を得ることになります。

音楽と評価

音楽は、エヴァン・ルーリーが手がけ、映画の雰囲気を一層引き立てています。興行収入は約3億円に達し、テレビ放送やビデオ販売においても好調でした。特に、陣内の真剣なヤクザ役が高評価を受け、彼の映画俳優としての地位を確立するきっかけとなりました。

受賞歴

本作は多くの映画祭で受賞し、特に陣内孝則は演技が評価され、多数の賞を受け取りました。『ちょうちん』は、新たなヤクザ映画の形を切り開いた重要な作品として今も語り継がれています。

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