金子正次

金子 正次（かねこ しょうじ）

金子正次は1949年12月19日に愛媛県温泉郡中島町の津和地島に生まれ、本名は金子松夫です。彼は日本の著名な脚本家や俳優として知られ、彼のペンネーム「鈴木明夫」で脚本も手掛けました。

幼少期と教育

津和地島は四国本土に近い小島でした。金子の実家は漁業やミカンの栽培を営んでおり、彼はそこで育ちました。松山聖陵高等学校では自動車科に通っていましたが、当時はかなりのツッパリで、東映ヤクザ映画の熱心なファンでした。その影響もあってか、彼はヤクザに憧れ、実際に高校を2年で中退して1972年に上京することになります。

上京後、彼は新宿歌舞伎町でディスコの呼び込みなどの仕事をしながら、ヤクザとも交友関係を持っていました。しかし、彼自身は「俺はヤクザにもなれなかった」と語っており、一般社会との関わりを求めていました。その後、原宿にある演技学校に入学し、演技を学ぶ道に進みます。

演劇活動

1974年、金子は劇作家の内田栄一と出会い、劇団「東京ザットマン」に参加しました。ここで彼は20本以上の舞台で主演を務め、アングラ演劇の一時代を築くことになりました。彼は演技だけでなく、脚本作りにも意欲的であり、演技力以外にも才能を発揮していきました。

映画への転身

1980年代に入るとアングラ演劇に陰りが見え始め、金子は映画製作への道を考え始めます。1983年には完全自主制作の初主演映画『竜二』が完成し、この作品が高く評価されます。この映画は暴力的なシーンを伴わないヤクザ映画として注目され、湯布院映画祭に出品された後、全国で公開されました。

『竜二』は大ヒットを記録しましたが、その公開期間中の1983年11月6日に金子は胃癌性腹膜炎により亡くなります。33歳という若さでの死は多くのファンや仲間に悲しみをもたらしました。彼の死を看取ったのは俳優の松田優作でしたが、実に6年後の同じ日、松田も癌で亡くなっています。

代表作とその後

金子の主な作品には、テレビドラマ『プロハンター』第16話「悪い女」（1981年）、映画『凶弾』（1982年）、『竜二』（1983年）などがあります。彼は『竜二』の脚本も担当しており、その独自の視点や演出が多くの映画ファンに受け継がれています。

2002年には金子の名作『竜二』を素材にした映画『竜二Forever』が製作され、主人公の金子正次役が高橋克典によって演じられました。この作品は、金子の遺産を受け継ぎ、新たな視点で彼の世界を描いています。

金子正次は、短い生涯の中で、俳優としても脚本家としても多くの人々に影響を与え続けています。彼の情熱と作品は、今でも多くのファンに愛されており、今後も彼の名作が語り継がれていくことでしょう。

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