つかまるのはごめん (1943年の映画)

『つかまるのはごめん』（原題：Dumb Hounded）は、アメリカ合衆国の老舗映画会社メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）が制作したアニメーション作品です。監督は、数々の名作アニメーションを手掛けたテックス・アヴェリー。この作品は、人気キャラクター、ドルーピーのデビュー作として知られています。

物語は、刑務所から脱獄したオオカミが、警察犬のドルーピーに追いかけられることから始まります。オオカミは、アメリカ全土を縦横無尽に逃げ回ります。北極点の氷原から、大都会の摩天楼まで、その逃亡劇は壮大です。しかし、ドルーピーはオオカミの逃げ道をことごとく見抜き、執拗に追跡を続けます。

オオカミの逃亡は、時にコミカルで、時にスリリングです。オオカミは、その機転と身体能力を駆使して、ドルーピーを出し抜こうとします。しかし、ドルーピーもまた、賢さと粘り強さでオオカミを追い詰めます。息詰まる追いかけっこは、見ている者を飽きさせません。

クライマックスは、ニューヨークの高層ビルです。オオカミは、ビルから飛び降りることで脱出しようとします。しかし、ドルーピーは、ビルの上から大きな石を落とします。その石は、オオカミの脱出計画を阻止し、オオカミは御用となります。

オオカミを捕まえたドルーピーは、賞金を受け取ります。普段はクールなドルーピーですが、賞金を得た喜びは隠しきれません。彼は、普段とは異なる、はしゃいだ様子を見せます。このギャップもまた、この作品の魅力のひとつです。

この作品では、ドルーピーのデザインが、後の作品とは異なっている点にも注目です。あごが地面に擦れるほど垂れている、独特の容姿が印象的です。声の担当はビル・トンプソン。一方、オオカミの声は、フランク・グラハムが担当しています。

スタッフ陣も豪華です。脚本はリッチ・ホーガン、キャラクターデザインはクロード・スミスといった、当時の第一線で活躍したクリエイターたちが参加しています。制作は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオ。配給もMGMが行いました。

日本では、TBS系列で放送された『トムとジェリー』の短編アニメーションの中に挿入される形で放映され、多くの視聴者に親しまれました。VHS、DVDなど、いくつかのソフトにも収録されており、現在も楽しむことができます。KINENOTE、AllMovie、IMDbなどでも、この作品の情報を確認することができます。

『つかまるのはごめん』は、ドルーピーのデビュー作であると同時に、MGMカートゥーンの黄金期を象徴する作品のひとつと言えるでしょう。ドルーピーとオオカミの息詰まる追いかけっこ、そしてドルーピーの意外な一面が見られる、見逃せない一本です。

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