つくばい

つくばいとは

つくばい（蹲踞）は、日本の庭園、特に茶庭に設置される手水鉢の一種で、茶室に入る前に手を清めるための装飾的な役割を果たします。これにより、茶の湯の儀式がより厳粛なものとなり、客人は心身ともに清めてから茶室に入ることができます。つくばいは、その名の通り、しゃがむ姿勢で使用するものとして設計されています。

由来

つくばいの名称は、「つくばう」と呼ばれるしゃがんだ姿勢に由来しています。茶道の伝統において、客は茶室へ向かう際に、この姿勢で手を清めることが求められます。これにより、茶室という特別な空間へ入るための結界を形成し、心の準備を整えることができます。

つくばいの構成

本格的なつくばいは、一般的に手水鉢を中心に様々な石を配置して構成されています。主な要素は以下の通りです。

• - 手水鉢（ちょうずばち）: 茶会の際、客が手を洗うための鉢です。ここから水をくみ、手を清めます。
• - 前石（まえいし）: 手水鉢の正面に位置し、ゲストが手水を使う際に乗る石です。時には更に手前に飛石が追加されることもあります。
• - 手燭石（てしょくいし）: 手水鉢の左側に置かれ、夜の茶会では手燭を設置するために使用されます。
• - 湯桶石（ゆおけいし）: 手水鉢の右側の石で、冬の茶会時に湯桶を置くために使われます。
• - 水門（すいもん）: 手水鉢や役石に囲まれた低い部分で、手水がこぼれた際の水を受けるために砂利を敷き詰めています。

縁先手水鉢

つくばいとは異なり、縁側で立ったまま使用する手水鉢が縁先手水鉢と呼ばれます。こちらは高いものや台石に乗せた手水鉢が選ばれ、便利に使えるように設計されています。役石には蟄石、水汲み石、清浄石、水揚げ石などがあり、それぞれ特定の目的に応じて配置されています。

小道具

つくばいには関連するいくつかの小道具も存在します。例えば、

• - 柄杓: 水を汲み取って手を清めるために用いる道具です。
• - 杓架: 柄杓を置くための架で、形状は様々です。使用されない場合もありますが、設置されることが一般的です。
• - 筧（かけひ）: 水源から手水鉢へ水を導く樋ですが、本格的な茶事では使用されることはあまりありません。

取りまとめ

つくばいは、日本庭園や茶室の重要な要素であり、その設計や配置は茶道の精神と深く結びついています。茶道の心を表現するための一つの手段であり、訪れるすべての人に清らかさと敬意をもたらします。

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