手水

手水（ちょうず、てみず）について

手水とは、神社や寺院において参拝の前に手と口を清める行為やそのための水を指します。この行為は「手水舎」と呼ばれる特設の施設で行われます。手水の名前には、古語からの変化があり、「ちょうず」は「てみず」の音変化によって生まれました。特に神社や寺院を訪れる際に、心身を清める重要な役割を果たしています。

手水の作法

手水を行う際の一般的な作法は以下の通りです。まず、右手で柄杓（ひしゃく）を取り、水を掬（すく）います。その水で最初に左手を清め、次に柄杓を左手に持ち替えて右手を清めます。

その後、再度右手に柄杓を持ち替え、左手のひらに水を溜めて口に含みます。柄杓の椀部に直接口をつけないのがポイントです。口を音を立てずにゆすいだら、そっと水を吐き出します。左手を再度清め、最後に柄杓を片手で持ち、上向きに傾けることで柄杓を洗い流します。最後に、柄杓を元の位置に静かに戻します。これが手水の基本的な作法となります。

歴史的背景

手水の起源は神道にさかのぼります。もともは、川や湧水で体を清める習慣があり、神社や寺院を訪れる際に聖なる場所に入るための準備として重要な意味を持っていました。特に、伊勢神宮の御手洗場ではその名残を見ることができます。時が経つにつれ、河川の水質が悪化し、清流や湧水の入手が難しくなったため、手水舎が新たな施設として設けられました。

花手水の文化

最近では、新型コロナウイルスの影響により手水舎の使用が自粛される流れとなりました。その結果、使用されなくなった手水舎を美しい花々で飾る「花手水」という新たな文化が広まりました。この花手水は、主に境内の花や生花店で売れ残ったものを利用しており、アジサイやヒマワリ、バラ、キクなどの季節の花が使われることが多いです。

花手水は、奈良県の岡寺や愛知県の御裳神社で早くから行われていましたが、特に2018年に京都府の楊谷寺での取り組みがSNSで広まり、全国的に知られるようになりました。2020年以降、多くの寺社で花手水が実施されるようになり、これは手水舎の新たな活用として定着しつつあります。

水を用いない手水

神道には、水を使わない手水の方法も存在します。これは、野外や冬季に水が使えない場合に草木の葉や花、雪などで身体を清める方法です。この方法は「花手水」や「雪手水」としても知られています。また、力士の ritual（儀式）における「塵手[[水]]」も一種の水を使わない手水です。

その他の情報

手水という言葉は、地域によっては起床後の顔洗いやその道具を指すこともあります。大阪方面ではこのように使われていることがある一方、全国的にはあまり通用しない用法として上方落語の素材にもなっています。手水には多くの関連項目があり、神道や参拝方法、さまざまな道具が使われます。

手水はただの水による清めの行為ではなく、その背後には豊かな歴史と文化が根付いているのです。

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