てぃんさぐぬ花

てぃんさぐぬ花

「てぃんさぐぬ花」は、沖縄本島を中心に広く親しまれている沖縄民謡の代表的な一曲です。文献によっては「てぃんさぐの花」「てんさぐの花」「ちんさぐの花」「てんさごの花」など、さまざまな表記が見られます。

概要

「てぃんさぐ」とは、ホウセンカ（鳳仙花）のことです。沖縄では古くから、ホウセンカの汁を爪に塗ると、マジムン（悪霊）除けになると信じられていました。この歌は、1番から10番まであり、親や年長者の教えに従うことの大切さを説く教訓歌として知られています。

1966年（昭和41年）には、「てんさぐの花」というタイトルでNHK『みんなのうた』で紹介されました。山本直純氏が編曲、中村浩子さんと杉並児童合唱団が歌い、多くの人々に感動を与えました。これは、同番組で初めて沖縄民謡が放送された画期的な出来事でした。その後、1970年（昭和45年）に刊行された書籍で、都道府県民歌に代わる「沖縄を代表する曲」として掲載され、その地位を確立しました。

現在でも、「てぃんさぐぬ花」は様々な場所で耳にすることができます。2003年（平成15年）に開業した沖縄都市モノレール線（ゆいレール）では、県庁前駅への到着を知らせるメロディとして使用されています。また、2015年（平成27年）3月22日からは、JR西日本大阪環状線の大正駅で、沖縄文化色の濃いまちのイメージに合わせて、発車メロディとして使用されています。

県民愛唱歌への指定

沖縄県は、1972年5月15日にアメリカ合衆国の施政権下から日本へ復帰し、28年ぶりに日本の都道府県となりました。この復帰の日に、「沖縄県民の歌」が県章とともに制定されました。しかし、2012年（平成24年）の復帰40周年を前に、県では新たな県民愛唱歌「うちなぁかなさうた」の制定を検討していることが2011年（平成23年）に報じられました。

新しい愛唱歌を制作するか、伝統的に歌い継がれてきた曲を指定するか、2つの案が検討されました。県民を対象にしたアンケートの結果、「てぃんさぐぬ花」が圧倒的な支持を集め、新規の愛唱歌制作は見送られました。そして、2012年3月18日、「てぃんさぐぬ花」が県民愛唱歌「うちなぁかなさうた」に指定されることが正式に発表されました。

「てぃんさぐぬ花」は、沖縄県民にとって特別な意味を持つ歌であり、その美しい旋律と歌詞は、世代を超えて歌い継がれています。沖縄の文化と歴史を象徴する歌として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

歌詞

作詞・作曲者は不明です。歌詞には地域や採録された時期により様々なバリエーションがあります。

歌唱

数多くのアーティストが「てぃんさぐぬ花」をカバーしています。

矢野顕子（アルバム『ELEPHANT HOTEL』収録）
夏川りみ（ミニアルバム『南風』収録）
島袋寛子
藍川由美（『〈金井喜久子作品集〉てぃんさぐぬ花〜沖縄のうた』収録）
ううあ（映画『ユキとニナ』主題歌、アルバム『うたううあ』収録）
上間綾乃（アルバム『はじめての海』収録）
普天間かおり（アルバム『ゆがふ』収録、曲名「ティンサグの花」）
他多数。

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