ときがわ町星と緑の創造センター

星と緑の創造センターとは

埼玉県比企郡ときがわ町に位置する「星と緑の創造センター」は、かつて国立天文台堂平観測所であった場所を再整備した宿泊施設です。標高875.8mの堂平山頂に位置し、豊かな自然に囲まれた環境で、天体観測の歴史に触れながら、森林体験やアウトドア活動を楽しむことができます。

施設概要

施設種別

観測展示室
宇宙・天文展示
駐車場
食事施設
宿泊施設

公開内容

天文台歴史展示
森林体験

歴史と沿革

堂平観測所の歴史

1962年11月1日、東京大学東京天文台堂平観測所として開設されました。三鷹キャンパスからのアクセスが良好で、冬場の晴天率が高かったため、岡山天体物理観測所と並び、日本の天体観測をリードする存在でした。

岡山天体物理観測所が分光観測を主に行ったのに対し、堂平観測所は主に光電観測を目的としていました。初代所長は広瀬秀雄でしたが、東京天文台長を兼任したため、実際の観測現場の運営は下保茂が「堂平世話係」として担当しました。

設立当初は観測機器の不具合による事故も発生しましたが、その後は数々の観測機器が導入され、惑星観測、小惑星観測、突発天体現象などの観測で多くの成果を上げました。天王星のリング発見にも貢献しています。

また、一時的に設置されたレーザー望遠鏡は、月との距離測定に利用されましたが、大気の状態により散乱し、十分な成果は得られませんでした。この技術は後に、大気観測レーザーレーダーとして応用されています。

その他、国産初の大型シュミット式望遠鏡や、人工衛星の軌道追跡用望遠鏡なども設置され、観測に使用されました。

観測所閉鎖と移管

都市化による空の状態の悪化や、大型観測施設の稼動により、堂平観測所の役割は薄れ、2000年3月31日に閉鎖されました。国立大学による引き取り手が見つからず、一時施設は取り壊される予定でしたが、都幾川村の強い要望により、2000年9月1日に村へ譲渡されました。

星と緑の創造センターとしての再出発

2001年から施設整備工事が開始され、2005年4月1日に「星と緑の創造センター」としてオープンしました。天体観測施設としての役割を終え、現在は森林体験やレクリエーション施設として利用されています。

主観測装置

堂平観測所の主観測装置であった91cm反射式望遠鏡は、1990年代初頭にデジタル制御に改良され、現在も星空観望会で利用されています。この望遠鏡は、日本光学工業（現ニコン）が製作したもので、岡山天体物理観測所の望遠鏡と同型のものです。

91cm反射式天体写真儀の仕様

主鏡口径：960mm
主鏡有効口径：914mm
主鏡焦点距離：4,590mm
主焦点口径比：F5.05
副鏡口径：266mm
副鏡有効口径：256mm
光学系：カセグレン式望遠鏡
カセグレン合成焦点距離：16,658mm
合成焦点口径比：F18.22
架台：イギリス式赤道儀
同架望遠鏡：15cm屈折式2基、20cm屈折式1基

この望遠鏡は、写真撮影を目的として設計されており、主焦点やカセグレイン焦点での撮影が可能でした。副鏡の電動フォーカシング機能も搭載されています。

現在の施設

観測機器

日本光学91cm反射式天体写真儀
ユーハン工業45cm反射式経緯台
タカハシ30cm反射式赤道儀（μ-300）
タカハシ10cm屈折式赤道儀（フローライト）
ニコン10cm屈折式赤道儀

緑体験施設

教育の森
トレッキングコース

林業体験施設

ブルーベリー栽培園

宿泊関連施設

91cmドーム観測所内宿泊室
モンゴルテント4棟
ログハウス1棟
バンガロー1棟

所在地・管理

住所

〒355-0366 埼玉県比企郡ときがわ町大字大野1853番地

指定管理者

星と緑の管理委員会

まとめ

星と緑の創造センターは、天体観測の歴史と自然体験の両方が楽しめるユニークな施設です。かつての天文台の面影を残しつつ、森林体験や宿泊施設が整備されており、家族連れやアウトドア愛好家にとって魅力的なスポットとなっています。

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