岡山天体物理観測所

岡山天体物理観測所は、岡山県浅口市と小田郡矢掛町にまたがる竹林山山頂付近に位置していた天文台です。1960年に東京大学附属東京天文台岡山天体物理観測所として開所し、その後、国立[[天文台]]によって運用されてきましたが、2018年3月31日にプロジェクトを終了しました。現在は、国立[[天文台]]ハワイ観測所岡山分室が観測施設の管理を行い、共同研究グループが機器の保全と利用を行っています。

歴史

観測所は、萩原雄祐氏らの尽力により1960年に開所しました。竹林山山頂は、晴天率が高く、気流が安定しているため、光・赤外観測に適した場所でした。また、標高が低いため、山頂への道路が整備されており、観測施設の建設や精密望遠鏡の搬入、調整が容易であったことも、建設地に選定された理由の一つです。

1953年: 日本学術会議が大型天体[[望遠鏡]]の設置を要望
1954年: 望遠鏡設置場所の調査開始
1956年: 竹林山山頂に観測施設の設置を決定
1958年: 188cmドーム、91cmドームの建設開始
1959年: 91cm反射[[望遠鏡]]が完成
1960年: 東京大学附属東京天文台岡山天体物理観測所が開所
1962年: 188cm反射[[望遠鏡]]、91cm反射[[望遠鏡]]による本格的な観測開始
1968年: 65cmクーデ式太陽望遠鏡が完成
1984年: 第1回「岡山天体物理観測所ユーザーミーティング」を実施
1988年: 東京天文台が国立[[天文台]]に改組
2004年: 国立[[天文台]]が大学共同利用機関法人に改組
2017年: 全ての全国大学共同利用を終了
2018年: プロジェクト終了

施設概要

観測所には、以下のような施設がありました。

駐車場（岡山天文博物館の隣接）
入り口守衛所
本館（研究棟）
事務室
宿直室
研究解析室
188cm天体[[望遠鏡]]ドーム棟
クーデ焦点室
鏡面洗浄・メッキ室
91cm天体[[望遠鏡]]ドーム棟
赤外線観測室
50cm天体[[望遠鏡]]ドーム棟
元太陽望遠鏡棟

観測所の望遠鏡

観測所には、以下の主要な望遠鏡がありました。

188cm[反射望遠鏡]]：グラッブ・パーソンズ社製で、ニュートン焦点、カセグレン焦点、クーデ焦点の三つの焦点を持つ大型望遠鏡です。クーデ焦点には高分散エシェル[[分光器]が設置され、恒星の分光観測に重要な役割を果たしました。
91cm反射式望遠鏡：日本光学工業（現ニコン）製の国産1号機となる大型反射式天体[[望遠鏡]]です。2003年10月に運用を停止し、超広視野赤外線カメラへの改造が行われました。
50cm反射式望遠鏡：MITSuME望遠鏡として設置された望遠鏡で、ガンマ線バースト観測専用として東京工業大学のグループと共同で運用されました。東京大学宇宙線研究所明野観測所の50cm望遠鏡と連動して観測を行いました。Gバンド、Rバンド、Iバンドの3バンドで同時撮影が可能です。
65cmクーデ型太陽望遠鏡（運用停止）：主に太陽表面の磁場活動を観測していましたが、国立[[天文台]]三鷹キャンパスに太陽磁場観測専用の望遠鏡が設置されたため、そちらに研究の主体が移りました。国内の太陽光学観測の拠点としては、京都大学理学研究科附属飛騨天文台があります。

業務解説

共同利用観測は年2回公募され、188cm望遠鏡では、HIDESや赤外線多目的カメラ(ISLE)を使用した光学分光観測と赤外線観測が行われました。

主な観測成果

観測所では、以下のような重要な観測成果を挙げています。

シューメーカー・レヴィ第9彗星の木星への衝突を観測。
MITSuME望遠鏡が120億光年かなたのガンマ線バーストの残光観測に成功。
HD 104985という巨星に太陽系外惑星を発見。
HD 1605、HD 1666、HD 67087という3つの恒星に計5つの太陽系外惑星を発見。

一般公開

188cmドーム付近は、観測所に隣接する岡山天文博物館の開館時間内に見学が可能です。188cm反射[[望遠鏡]]はガラス越しに見学できます。ただし、188cm反射[[望遠鏡]]ドーム以外の施設の一般公開は行っておらず、立ち入り禁止となっています。

所在地

岡山県浅口市鴨方町本庄3037-5

交通

JR西日本・山陽本線・鴨方駅下車、タクシーで25分

関連情報

施設
国立[[天文台]]
京都大学3.8m望遠鏡
望遠鏡 - 天体[[望遠鏡]]
関係者
萩原雄祐 - 観測所の建設に尽力
石田五郎 - 観測所の建設時に現地に赴任し、24年間勤務
研究分野
天文学 - 光赤外天文学
分光学 - スペクトル

外部リンク

国立[[天文台]]
岡山天体物理観測所

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