ときわ (補給艦)

海上自衛隊補給艦「ときわ」：波瀾万丈の艦歴

「ときわ」は、海上自衛隊のとわだ型補給艦2番艦です。艦名は常盤湖に由来し、旧海軍の艦艇と実験艇を受け継ぐ3代目となります。本記事では、「ときわ」の1990年の就役から現在までの艦歴を詳細に解説します。性能や装備等の概要については、とわだ型補給艦に関する資料を参照ください。

就役と湾岸戦争への派遣

「ときわ」は1988年5月12日に石川島播磨重工業東京工場で起工、1989年3月23日に進水し、1990年3月12日に就役しました。横須賀基地に配備され、自衛艦隊に直轄艦として編入されました。

湾岸戦争勃発後の1991年4月、ペルシャ湾掃海派遣部隊の一員として「ときわ」は横須賀を出港します。掃海母艦や掃海艇と共にペルシャ湾で活動し、機雷掃海任務に従事する艦艇への補給任務などに従事しました。この際、家族との連絡を円滑にするため、艦内郵便局が設置されました。海上自衛隊の艦艇に船内郵便局が設置されたのは、砕氷艦「しらせ」を除けば初めてのことであり、大きな話題となりました。

国際貢献と災害派遣

「ときわ」は、国際貢献や災害派遣にも数多く参加しています。1994年には環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加。1999年のトルコ北西部地震では、国際緊急援助隊の一員として、仮設住宅の輸送のためトルコへ派遣され、海上自衛隊史上最長の連続航海記録を樹立しました。

2001年以降は、テロ対策特別措置法に基づき、インド洋に複数回派遣され、国際テロ対策に貢献しました。この期間中、「ときわ」は各国海軍への燃料補給を行うなど、多様な任務を遂行しました。さらに、2004年スマトラ沖地震の際には、被災地への援助活動にも従事しました。2011年の東日本大震災では、被災地への物資輸送など災害派遣任務に当たりました。

事故とインシデント

「ときわ」は、2011年には油流出事故、2012年には火災事故に見舞われました。いずれも機関室の発電機が原因と推定され、人的被害はありませんでした。2018年には、艦内で乗員が自殺する事件が発生し、パワーハラスメント問題が表面化しました。

北朝鮮への対応

「ときわ」は、北朝鮮による違法な瀬取り行為の監視・確認にも重要な役割を果たしました。2019年と2020年には、国連安保理決議に違反する瀬取り行為を行っていた北朝鮮船籍のタンカーを確認し、その活動を監視しました。

近年の活動

近年においても、「ときわ」は日米共同訓練、日加共同訓練、そして多国間共同訓練「PACIFIC VANGUARD」など、様々な訓練に参加し、高い訓練水準を維持しています。中国海軍艦艇の動向監視や情報収集にも携わっています。

結語

「ときわ」は、その長い艦歴の中で、数々の任務を遂行し、日本の安全保障に大きく貢献してきました。国際貢献や災害派遣、そして日々の訓練活動を通して、その存在感は揺るぎないものです。今後も日本の海上防衛の最前線で活躍が期待されます。

参考文献

石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』（並木書房、2002年）
『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』（海人社、2004年）

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