補給艦

補給艦の役割と進化

補給艦（ほきゅうかん、英: underway replenishment ship）は、海上で他の艦船に燃料や食料、弾薬などの物資を供給するために設計された艦艇です。これらの艦は艦隊の運用を長期間支える重要な役割を担っており、軍事作戦において欠かせない存在です。

補給艦の分類と歴史

補給艦は様々な種類に分けられます。初期の補給艦は、石炭を運搬するために設計された給炭艦（collier）でしたが、その後は石油燃料の需要が高まると給油艦（oiler）に進化しました。燃料以外の物資については、武器や弾薬を供給する給兵艦（ammunition ship）や、食料や生活物資を補給する給糧艦（stores ship）が存在しています。

近年では、複数の物資を同時に補給する「ワン・ストップ補給」艦も開発されました。これには、高速戦闘支援艦（fast combat support ship）や、補給・給油艦（replenishment oiler）などが含まれます。これらの艦は、特定の補給艦から物資を受け取り、戦闘艦にまとめて供給するシステムを構築しています。

また、燃料や弾薬、食料を同時に供給する能力を持つ貨物弾薬補給艦（dry cargo ship）などの新しい艦種も登場し、補給の効率化が進んでいます。

UNREPとFAS

補給艦の役割の中でも特に重要なのが、洋上での物資供給、UNREP（underway replenishment）です。従来の方法としては、補給艦と受給艦を索で結ぶCONREP（connected replenishment）が用いられていますが、ヘリコプターを使用したVERTREP（vertical replenishment）も採用されています。

洋上給油（FAS）においては、艦船の動力源が蒸気機関に変わる中で、油の供給が必要不可欠になりました。歴史的には、イギリス海軍が1870年に石炭の洋上補給を試みるも、実用性は低かったとされています。その後、1917年にはアメリカ海軍が初めて洋上給油を実施しました。

当初は縦引き給油法（astern-refueling method）が支流でしたが、1930年代に入り、アメリカ海軍は並行給油法（broadside-refueling method）を開発し、これが第二次大戦中には主流となりました。補給艦と受給艦の距離を35～40メートルに保ちながら、スパン・ワイヤを利用して給油ホースを展開し、燃料を供給していきます。

ハイライン移送と補給方法の革新

物資の洋上補給についても進化が続いています。アメリカ海軍は1944年、補給艦のブームを使用した移送方法を開発し、その後、より効率的なSTREAM法を採用しました。 STREAM法では、ハイライン索を使用して補給する物資を移動させる仕組みが設けられ、これにより補給の効率が格段に向上しました。

補給艦は、数世代にわたる技術革新を経て、現代においても艦隊の戦略的運用において不可欠な存在であり、海上作戦の成功を支える重要な役割を果たしています。

もう一度検索