とちぎメディカルセンター

一般財団法人とちぎメディカルセンター（TMC）

一般財団法人とちぎメディカルセンター（Tochigi-Medical-Center、TMC）は、2013年4月1日に設立された一般財団法人です。栃木県栃木市に本部を置き、複数の医療機関と保健福祉施設を運営しています。この法人は、地域医療の再編という大きな課題に立ち向かい、設立されました。

歴史

病院再編と法人の設立（2009-2013）

2009年、栃木地区では、下都賀総合病院、とちの木病院、下都賀郡市医師会病院の3つの病院が、それぞれ急性期医療を担っていました。しかし、これらの病院は機能が重複し、非効率な状況が見られました。特に下都賀総合病院は老朽化が進んでおり、建て替えが急務となっていました。

この状況を打開するため、国が創設した地域医療再生基金を活用し、下都賀総合病院の新築移転を軸とした再編計画が始まりました。当初、小山市民病院との統合案も浮上しましたが、最終的には、下都賀総合病院を中心とした再編案が進められることになりました。しかし、政権交代の影響で交付金が減額されるなど、計画は紆余曲折を経ることになりました。

その後、JA栃木厚生連が下都賀総合病院の運営から撤退を表明。これを受け、とちの木病院を運営する医療法人の理事長が、両病院の統合を提案。また、下都賀郡市医師会も、医師会病院と下都賀総合病院の統合を提案。これらの動きを受け、栃木市が主導し、最終的に3病院の統合再編を目指すこととなりました。この統合案は、国の有識者会議でも高く評価され、最終的に35億円の再編整備費が充当されることになりました。

2013年4月、これらの動きを具体化するため、一般財団法人とちぎメディカルセンターが設立され、3病院の運営法人を一本化しました。

法人設立後（2013-）

TMCは、設立当初、共同代表制を採用していましたが、経営責任の明確化を求められ、理事長制に移行しました。また、経営基盤を強化するため、中期経営計画を策定し、金融機関からの融資を受けながら、経営改善を進めました。しかし、設立当初は入院患者の減少や統合に伴う経費増により赤字が拡大しましたが、栃木市の支援を受けながら、経営改善に取り組みました。

2016年には、下都賀総合病院が新築移転し、「とちぎメディカルセンターしもつが」として開院。とちの木病院は「とちぎメディカルセンターとちのき」へ、下都賀郡市医師会病院は「とちぎメディカルセンター総合医療支援センター」へそれぞれ再編されました。この再編後、入院患者数や介護施設の入所者数が増加に転じ、2018年には初の経常黒字を達成しました。

年表

2013年4月1日：JA下都賀総合病院、下都賀郡市医師会病院、医療法人陽気会とちの木病院を統合し、法人設立
2016年4月30日：とちぎメディカルセンター下都賀総合病院 閉院
* 2016年5月1日：とちぎメディカルセンターしもつが 開院

運営する施設

TMCは現在、以下の3つの施設を運営しています。

とちぎメディカルセンター総合医療支援センター

旧下都賀郡市医師会病院の敷地を利用しており、介護老人保健施設とちぎの郷、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所、総合健診センターの4部門から構成されています。特に、介護老人保健施設の機能は旧とちのき病院から移転され、定員も増加しました。また、財団法人本部と下都賀郡市医師会も併設されています。

とちぎメディカルセンターしもつが

旧下都賀総合病院を新築移転した施設で、栃木地区の救急医療の中核を担っています。がん治療や脳卒中の診療においては、栃木県の中核病院としての役割も果たしています。外来患者は旧とちのき病院から集約されています。

とちぎメディカルセンターとちのき

旧とちの木病院を増築・改修した施設で、療養・緩和ケア・回復期リハビリテーション・地域包括ケアに特化しています。旧とちのき病院時代に担っていた救急医療はTMCしもつがへ移行し、より専門的な医療サービスを提供しています。

まとめ

一般財団法人とちぎメディカルセンターは、地域医療再編という困難な課題に取り組み、病院統合と機能分化を進めてきました。設立当初は経営難に苦しみましたが、栃木市の支援や経営努力により、地域医療の中核として発展を続けています。救急医療からリハビリテーションまで、幅広い医療ニーズに応えるTMCの今後の活躍が期待されます。

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