とべない翼

とべない翼

概要

『とべない翼』（とべないつばさ）は、日本の漫画作品で、真樹日佐夫の原作に梅本さちおがイラストを手がけました。この作品は1970年から1971年にかけて『週刊少年サンデー』（小学館）で連載されました。物語は、一人の高校生が経済的な理由から窃盗を犯し、その後の少年鑑別所や少年院での経験を通じて成長していく姿を描いています。

あらすじ

物語の主人公、五代明（ごだい・めい）は学業でも優秀な成績を収めています。しかし、彼の性格は冷ややかで、自分を守るために不良に襲われるクラスメイトを見て嗤うほどの冷淡さを持っています。そんな明は、父が不慮の事故で亡くなった後、生活費を稼ぐために銀座のバーでドアボーイとして働き始めます。この状況に対して彼は深い不満を抱えています。

ある日、仕事中に客から預かった上着の中に大金が入った財布を見つけた明。それをトイレに行くふりをして中身を抜き取り、財布を捨てることに決めます。しかし、彼が思いもよらぬ出来事に巻き込まれ、財布を捨てた先には、人がいて、その人物が財布を見つけて店に届けたため、明の行動はすぐに発覚。その結果、明は警察に逮捕されます。

明は最初に練馬にある少年鑑別所（通称ネリカン）に送られ、その後、山梨県にある竜王特別少年院に移されます。彼はそこで、多くの少年たちが直面している厳しい現実—リンチや隠れタバコなど—に初めて触れることになります。そこで明は、自分の持つ知恵や策略を駆使して生き延びようと奮闘しますが、他の少年たちや教官たちとの交流を通じて、次第に明の内面に変化が生まれていきます。

単行本

連載終了後、主人公を描いた第一巻が秋田書店のサンデーコミックスとして刊行されましたが、その後の続刊はリリースされませんでした。その理由は、少年院をテーマにした描写が「子供に悪影響を及ぼす」というクレームを受けたためとされます。しかし2006年11月にはマンガショップにより作品の「完全版」が全3巻として再度刊行されました。

• - 上巻 ISBN 978-4775911327
• - 中巻 ISBN 978-4775911334
• - 下巻 ISBN 978-4775911341

この作品は、一般的な成長物語の枠を超えた深いテーマを持つ作品として多くの読者に愛されています。明が直面する試練は、彼自身がどう成長するのかを鮮やかに浮き彫りにしており、心の変化が描写されたストーリーは読者に強い印象を残します。

もう一度検索