どろろ (映画)

映画『どろろ』

2007年に公開された映画『どろろ』は、手塚治虫の同名漫画を実写化した作品です。監督は塩田明彦、主演は妻夫木聡と柴咲コウが務めました。原作の舞台を室町時代後期から戦国時代前期とする設定から一転、本作では架空の異世界を舞台とし、現代的な要素も取り入れた、ジャパニーズ・ファンタジーと呼ぶにふさわしい作品となっています。

あらすじ

物語は、賢帝歴三千四十八年、醍醐景光が魔物と契約を交わした20年後から始まります。百鬼丸は、魔物に身体の四十八箇所を奪われ、義肢で補いながら生きる青年です。一方、コソ泥のどろろは、ひょんなことから百鬼丸と出会い、彼が持つ妖刀に興味を持ちます。二人は共に旅をし、魔物を倒しながら、百鬼丸が失った身体を取り戻すことを目指します。旅の中で二人の絆は深まり、百鬼丸の過去や、どろろの両親の仇である醍醐景光の謎が明らかになっていきます。

登場する魔物

作中には、様々な魔物が登場します。以下に代表的な魔物を紹介します。

ヤシガニ蜘蛛: 酒場の踊り子に化けていた魔物。正体はヤシガニのハサミと蜘蛛の下半身を持つ老人の姿。百鬼丸の右脚を奪いました。
マイマイオンバ: 人に化けて鯖目の奥方として暮らしていた蛾の魔物。無数の目を持つ幼虫の娘たちがおり、寺に捨てられた子供を餌にしていました。百鬼丸の肝臓を奪いました。
桜魔人: 桜の木から現れる能面の顔を持つ妖怪。赤い髪が無数に伸びています。百鬼丸の左耳を奪いました。
オオサンショウウオ: 二足歩行する巨大な山椒魚の魔物。強固な皮膚と巨大な舌を持ち、百鬼丸の喉を奪いました。
カラス天狗: 修験者を襲いカラス天狗になったとされる魔物。巨大な翼で空を飛び、二本の剣を操ります。百鬼丸の右腕を奪いました。
赤野獣・青野獣: 山犬のような姿をした一対の獣。言葉巧みに相手を絶望させ、自殺に追い込みます。百鬼丸の目を奪いました。
四化入道: 山寺を取り壊そうとした武将に逆らい生き埋めにされた和尚が魔物化したもの。多宝丸に取り憑き、その後景光と一体化しました。百鬼丸の心臓を奪いました。

キャスト

百鬼丸：妻夫木聡
どろろ：柴咲コウ
多宝丸：瑛太
醍醐景光：中井貴一
百合：原田美枝子
琵琶法師：中村嘉葎雄
寿海：原田芳雄

スタッフ

監督：塩田明彦
アクション監督：程小東
脚本：NAKA雅MURA、塩田明彦
音楽：安川午朗、福岡ユタカ

製作と評価

本作は、「どろろ」製作委員会が製作し、東宝が配給しました。興行収入は34億5000万円を記録し、大ヒットとなりました。また、第7回日本映画テレビ技術協会映像技術賞では、VFX、劇映画部門を受賞するなど、高い評価を得ています。撮影はニュージーランドで行われ、大規模なオープンセットが組まれました。

続編について

興行収入の成功から続編の製作も発表されましたが、実現には至りませんでした。しかし、監督の塩田明彦は第2作、第3作の脚本を完成させており、製作体制さえ整えばいつでも撮影可能であるとされています。

その他

映画に先駆けて、脚本家によるノベライズ版が発売されました。
キャッチフレーズは、「運命を、ぶった斬れ。」、「物語が、動き出す。」、「必死に生きて、何が悪い！」。
手塚作品では初のPG-12指定作品です。
主題歌は、Mr.Childrenの「フェイク」が使用されました。

映画『どろろ』は、原作の世界観を尊重しつつ、新たな解釈を加えた意欲的な作品です。アクションシーンやVFXも見どころで、多くの観客を魅了しました。

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