なごり雪

「なごり雪」について

「なごり雪」は、伊勢正三が作詞・作曲した楽曲で、かぐや姫が1974年にリリースしたアルバム『三階建の詩』に収録されたことから知られています。この曲は失恋をテーマにしており、若き男性が恋人と別れ、その切なさや青春の情景を美しく描写しています。特に「東京」という言葉が登場することで、故郷である大分県津久見市との対比が際立っています。

歌詞の背景

伊勢は、楽曲を作る際に大分の津久見駅を想起しつつ、東京駅での情景を思い描いたと言われています。国鉄の蒸気機関車は1975年の国鉄無煙化まで存在しており、歌詞の「汽車」は現代の電車を指していました。当時は新幹線がなく、東京と大分の間は非常に長い道のりであり、これが伊勢の楽曲制作に影響を与えたのです。

詩の誕生

伊勢がこの曲の制作に取り組んだのは、1973年の秋、彼が22歳になる少し前でした。彼はサビのメロディと歌詞を最初に思いつき、そこからストーリーを展開していったと語っています。彼の作品が南こうせつらに聞かされた際、周りの反応は薄かったものの、すぐに「22才の別れ」を制作し、これもまた失恋を描いています。二曲は同一のカップルを描いているとも言われています。

イルカのカバーとその影響

1975年11月5日、イルカが「なごり雪」をカバーし、シングルとしてリリースしました。このカバーは大ヒットを記録し、日本の春を象徴する曲として広まりました。特にイルカがカバーすることで、オリジナルとは異なる味わいが加わり、その後多くのアーティストによってもカバーされ続けています。イルカは伊勢からの要望を受けて歌唱を決意し、この曲が日本でアイコニックな存在となりました。

音楽的な評価とメディアでの使用

「なごり雪」は、音楽的にも高く評価されており、数々のアーティストによって再録やカバーが行われてきました。特に、2002年には映画化もされ、さらに楽曲の人気を高めました。また、伊勢夫妻によるピアノアレンジのメロディが、JR九州の津久見駅の接近メロディとしても使用されています。

近年の活動

2024年には「なごり雪」のリリースから50周年を記念したコンサートが各地で開催される予定です。このように「なごり雪」は、ただの楽曲以上の存在となり、多くの人々の心に響き続けています。

影響を受けた楽曲

「なごり雪」は、後の楽曲にも多大な影響を与えています。いきものがかりの「KIRA★KIRA★TRAIN」など、多くの曲がこの楽曲の影響を受けているとされ、その魅力と普遍性は色褪せることがありません。

このように「なごり雪」は、失恋の切なさを前面に打ち出した作品でありながら、音楽としても人々に感動を与え、今なお多くのアーティストに愛され続けています。

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