なさみ型掃海母艇

なさみ型掃海母艇

なさみ型掃海母艇（英: Nasami-class Minesweeper Tender）は、海上自衛隊の掃海母艇に分類される艦級です。この艦級は、アメリカ陸軍が第二次世界大戦中に大規模な物資輸送を目的に建造した大型貨物補給船を前提としています。当初の船舶は、太平洋の島々で使用されていましたが、1955年3月31日に日米相互防衛援助協定に則り、日本に供与されました。

構成艦について

供与された2隻の艦は「なさみ」（元：FS-408）と「みほ」（元：FS-524）です。いずれの艦もフィリピン・マニラで引き渡された後、日本に回航されました。これらの艦は、艦としての適応能力を高めるためにそれぞれ改装が施され、実績のある掃海母艇として生まれ変わりました。

1番艇：なさみ

1番艇「なさみ」は、呉地方隊に編入された後、掃海母艇（MST）としての改装が行われました。改装にあたっては、煙突の後部に大型の甲板室が設置され、船倉の一部が居住区に改造されました。改造が施された後、「なさみ」は第1掃海隊群母艇、続いて第2掃海隊群母艇として1970年まで任務を遂行しました。

1970年3月には実用実験隊に移籍し、各種試験の支援を行いましたが、1971年には特務船籍の「掃海船51号」（YAS-51）に変更され、佐世保地方隊で主に対馬への輸送任務に使用されることになりました。1976年3月31日には除籍され、返還されました。

2番艇：みほ

一方、2番艇「みほ」は、横須賀地方隊に配属され、特務艇（ASS）として輸送任務に従事しました。1959年5月、掃海母艇への改装が行われましたが、その内容は「なさみ」と異なり、甲板室が艇体の中央部に設置され、第2船倉が居住区に変更される大規模なものでした。このため、改装後は「なさみ」と「みほ」は外観上でも大きな違いが見られました。

「みほ」は、第101掃海隊の母艇としての役割を果たしましたが、1972年3月31日には「特務船59号」（YAS-59）に類別変更され、LCMの母艇任務に従事します。そして1974年9月30日には除籍された後、返還されました。

その後、1979年にはフィリピン海軍に再供与され、「マンギャン」（BRP Mangyan, AS-71）という特務艇として運用されています。建造から80年以上が経過しましたが、予定されていた2021年の退役が延長され、2023年現在も現役で使用されています。

まとめ

なさみ型掃海母艇は、その歴史の中で日本の掃海活動を支える技術的な盤石さを示してきました。改装によって2隻の艦は異なる任務を果たしつつ、時代に応じた柔軟な運用を続けています。

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