なんでも屋探偵帳

『なんでも屋探偵帳』シリーズ概要

『なんでも屋探偵帳』（なんでもや たんていちょう）は、1989年から1997年にわたり、テレビ朝日系列で不定期に放送された2時間枠のテレビドラマシリーズです。全6作品が制作され、俳優・小林稔侍がテレビドラマで初めて主演を務めた記念碑的な作品としても知られています。

放送枠の変遷

このシリーズは、作品ごとに放送枠が変更されました。第1作は『火曜スーパーワイド』枠で放送され、タイトルも『なんでも屋奮戦記』でした。続く第2作、第3作は『火曜ミステリー劇場』にて放送され、この第2作からシリーズタイトルが『なんでも屋探偵帳』となりました。そして、第4作から最終となる第6作までは、長寿人気シリーズである『土曜ワイド劇場』で放送されました。

ストーリーと設定

物語の中心となるのは、主人公の胡桃五郎です。彼はもともと新聞記者でしたが、勤め先を辞めて『なんでも屋本舗』という便利屋を開業します。しかし、経営は思うようにいかず、借金も抱える生活。家計は、五郎の妻が経営する店に頼っているというユニークな設定が物語の基盤にあります。

五郎が営む便利屋には、ありとあらゆる依頼が舞い込みます。動物の捜索から人間関係のトラブル解決まで、多岐にわたる仕事を引き受ける中で、五郎は次々と発生する殺人事件に巻き込まれてしまいます。元新聞記者としての経験や、便利屋として培った様々な知識、そして持ち前の人間性を活かし、事件の真相に迫り、解決へと導いていくのがシリーズの基本的な流れです。

登場人物

シリーズを通して登場する主要なキャラクターとその演者は以下の通りです。

胡桃五郎
演：小林稔侍
主人公。元新聞記者で、現在は借金返済のため便利屋『なんでも屋本舗』を経営しています。人の良い性格ですが、事件に対しては粘り強く捜査します。

胡桃律子 / 胡桃愛子
演：かたせ梨乃（第1作、第2作） / 宮崎美子（第3作 - 第6作）
五郎の妻。シリーズ途中でキャストが交代しました。かたせ梨乃演じる律子は『スナックくるみ』を経営し、元警察官という異色の経歴を持ちます。宮崎美子演じる愛子は『大衆割烹くるみ』を切り盛りし、五郎の家計を支える大黒柱です。

マコ
演：小林千晴（第4作 - 第6作）
愛子が経営する『大衆割烹くるみ』で働く従業員です。

小堺
演：小林健（第5作、第6作）
新聞記者。山下の部下として登場します。

山下勇作
演：小松政夫（第5作）、なべおさみ（第6作）
新聞社の編集局部長で、五郎とは旧知の友人です。シリーズ終盤に登場しました。

各話リストと主なゲスト

全6作品のタイトルと放送年、そして物語を彩った主なゲスト俳優は以下の通りです。

第1作 『なんでも屋奮戦記 殺人事件からサル救出作戦まで』 （1989年）
主なゲスト：伊藤麻衣子、長与千種、中山仁 など
シリーズ唯一の別タイトル作。殺人事件とサル救出依頼が絡み合います。

第2作 『はりつけ島連続殺人』 （1990年）
主なゲスト：高樹澪、松本留美、小倉一郎、織本順吉、園佳也子 など
島を舞台にした連続殺人事件が描かれました。

第3作 『花嫁の父の変死 披露宴が一転して社葬へ』 （1991年）
主なゲスト：七瀬なつみ、丸岡奨詞、絵沢萠子、石濱朗 など
結婚披露宴での変死事件から幕を開ける物語です。

第4作 『血ぬられた死亡診断書が明かす遺産相続の秘密』 （1994年）
主なゲスト：香坂みゆき、篁友紀子、浜田光夫、夏夕介 など
遺産相続を巡る複雑な人間関係の中で事件が発生します。

第5作 『隅田川に浮かんだ恩師の死体！万歩計があばく血塗られた連続殺人の秘密!!』 （1996年）
主なゲスト：川上麻衣子、こぼん、車だん吉、坂上二郎、織本順吉、小島三児 など
隅田川で発見された遺体を発端とする連続殺人事件に五郎が挑みます。恩師役で織本順吉が再登場。

* 第6作 『潜入！旅一座 化粧の下に潜む血塗られた怨み節』 （1997年）
主なゲスト：佳那晃子、建みさと、篠井英介、佐藤B作、田山涼成 など
旅一座の世界に五郎が潜入し、そこで起こる事件の謎を追います。この作品がシリーズ最終作となりました。

スタッフ

シリーズの制作は、朝日放送とスタッフアズバーズが担当しました。脚本は田上雄、遊川和彦、峯尾基三らが手掛け、物語を紡ぎ出しました。音楽は津島利章（第1作、第4作）や山川繁（第2作）が担当。監督は長谷和夫、高井牧人、小原宏裕、北畑泰啓らがメガホンを取り、各作品の世界観を作り上げています。

小林稔侍の初主演作として、そして便利屋というユニークな主人公設定で人気を博した『なんでも屋探偵帳』シリーズは、約8年間の歴史を経て完結しました。多彩なゲストと予測不能な事件展開が魅力の2時間サスペンスドラマです。

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