にっぽんのうた 世界の歌

にっぽんのうた 世界の歌

NHK-FM放送で展開された音楽番組『にっぽんのうた 世界の歌』は、2009年3月30日から2012年3月29日にかけて、おもに平日の午前に放送されました。この番組の大きな特色は、日本に古くから親しまれてきた童謡、唱歌、そして叙情歌といったジャンルを中心に、幅広い音楽を選曲していた点にあります。

番組が掲げた主旨は、これらの歌い継がれてきた楽曲を、これからの世代にもしっかりと受け継いでいくことでした。単に名曲を流すだけでなく、リスナーからのリクエストや心温まるメッセージを積極的に紹介。さらに、声優として知られる富沢美智恵さんが、これらの音楽にまつわるエピソードや自身の思いを交えながら語りかけるフリートークも番組を彩る要素となっていました。リスナーとパーソナリティの交流を通じて、音楽への愛情を深めるような構成がとられていたのです。

本放送に先立ち、番組の世界観を探る試みとして、2009年3月2日から3月13日にかけて『特集 にっぽんのうた 世界の歌』と題したパイロット版が放送されました。この特別期間を経て、レギュラー番組としてのスタートが切られたのです。

番組は当初、平日（月曜日から金曜日）に放送されていましたが、2011年4月からは放送曜日が変更となり、月曜日から木曜日の放送となりました。これに伴い、金曜日の同じ時間帯は、合唱曲を取り上げる「ビバ合唱」やクラシックなどを紹介する「名曲の小箱」といった別の番組（初回放送）、そして再放送枠には「世界の快適音楽セレクション」が充てられることになりました。

番組内容も、放送期間中にいくつかのフォーマットが見られました。特に2011年頃の曜日別構成は特徴的です。

月曜日: 日本の童謡、唱歌、叙情歌といった番組の基盤となるジャンルに特化。
火曜日: 声楽、オペラ、合唱曲など、よりクラシック寄りの声楽曲を中心に紹介。
水曜日: 日本の歌謡曲から選りすぐった「フォーエバー青春」と題した企画。
木曜日: 海外のポピュラー音楽など、洋楽に焦点を当てた構成。
* 金曜日 (2011年3月25日まで): 特定のテーマにとらわれない、新譜紹介なども含む自由な内容。

放送時間は、原則として月曜日から木曜日の午前9時20分から10時00分までの本放送と、その日の夕方17時20分から18時00分までの再放送という形がとられていました。

地域によっては放送状況が異なるケースもありました。例えば、2010年度までの期間、NHK前橋放送局ではこの番組は放送されていなかったことが確認されています。

また、国内向けの放送だけでなく、NHKワールド・ラジオ日本においても放送される機会がありました。これは、通常ラジオ第1放送が同時放送される枠において、国会中継が組まれたり、放送権や電波運用の都合からスポーツ中継などが放送できない場合に限られてのことでした。

3年間の放送を終えた『にっぽんのうた 世界の歌』の後継番組としては、2012年4月2日から「音楽遊覧飛行」が放送を開始し、引き続き音楽の魅力を様々な角度から伝えています。

『にっぽんのうた 世界の歌』は、時代を超えて愛される日本の歌を中心に据えつつ、幅広いジャンルの音楽にも光を当てることで、多くのリスナーに親しまれた番組と言えるでしょう。その内容は、NHK放送史のウェブサイトなどで現在もその記録を見ることができます。

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