フリートーク

フリートーク（Free Talk）は、1985年 4月8日に北海道早来町の社台ファーム早来（現在のノーザンファーム）で生まれた日本の競走馬および繁殖牝馬です。父は日本で一大成功を収めた名種牡馬リアルシャダイ、母は競走馬としては勝利経験のないダイナフリートという血統を持ちます。リアルシャダイにとって、日本で種牡馬生活を始めた最初の世代の産駒の一頭として誕生しました。現役時代には1988年にフラワーカップとクイーンステークスという二つの牝馬限定重賞を制しています。主戦騎手は増沢末夫が務めました。

幼駒時代のフリートークは、同じ牧場で生まれた他の同期の馬たちと比べると細身で、競走馬としての評価はA級に対してB級と見られていました。社台グループが手掛ける一口馬主クラブの募集馬となった際にも、当初は出資が集まりきらずに口数が余っていたとされています。馬名は、母の名前「ダイナフリート」から連想されたもので、一口馬主の一人によって名付けられました。

競走馬としてのキャリアは1988年1月、4歳になってからスタートしました。最初のレースはダートの新馬戦で2着。続く未勝利戦にはわずか一週間後の連闘という厳しいローテーションで臨み、見事に初勝利を挙げました。さらにダートの条件戦でも2着に入り、ダート路線で結果を出していましたが、この馬の手綱を取っていた増沢末夫騎手から調教師の鈴木康弘に対し、「この馬は芝でも間違いなく走る」という進言がありました。この騎手の言葉が転機となり、フリートークは次走、芝の重賞であるフラワーカップへの出走を決めることになります。芝レースは初挑戦、しかも重賞という舞台でしたが、8番人気という伏兵評価を覆すパフォーマンスを見せました。レースでは先行集団を見る位置から追走し、直線で楽な手応えのまま抜け出すと、後続に2馬身半差をつける圧勝劇。この勝利によって、牝馬クラシック戦線の有力候補として一躍注目を集める存在となりました。

クラシック第一冠、桜花賞は多くの有力馬が並び立つ混戦ムードの中、フリートークは6番人気に支持されて出走しました。レースでは中団で流れに乗り、直線で上位進出を図りますが、優勝したアラホウトクには及ばず3着に終わりました。続く二冠目の優駿牝馬（オークス）でも桜花賞と同じく6番人気に推されますが、結果は4着と、ともに掲示板を確保する走りを見せました。

夏の休養を経て迎えた秋は、牝馬三冠の最終戦、エリザベス女王杯を最大の目標に定め、その前哨戦となるクイーンステークスに出走します。このレースではこれまでの重賞実績が評価され、単枠指定かつ1番人気に推されました。レースは前半1000mが64秒2という非常に遅いペースで進みましたが、フリートークは終始2番手で先行し、直線で他馬を一気に引き離して重賞2勝目を飾りました。父リアルシャダイ、母父エルセンタウロという血統背景から、距離適性の高い晩成型タイプとも見られており、このクイーンステークスの勝利によって、目標としていたエリザベス女王杯での最有力候補との呼び声が高まります。しかし、女王杯に向けて順調に調整が進められていた最中、調教中に不運にも躓いてしまい、膝を負傷。無念の戦線離脱を余儀なくされます。結局、この怪我から復帰することは叶わず、短い競走馬生活を終えて引退することとなりました。通算成績は6戦3勝、重賞2勝というものでした。

引退後は、生まれ育った社台ファーム早来（後にノーザンファームと改称）で繁殖牝馬としての道を歩み始めました。しかし、残念ながら繁殖成績はあまり安定せず、最終的に確認されている産駒数は3頭、そのうち実際にレースに出走できたのは2頭のみにとどまります。それでも、産まれた娘の一頭であるシングライクトークが、中央競馬で7勝を挙げ、オープンクラスまで昇り詰めました。シングライクトークは、マーメイドステークスや阪神牝馬特別といった牝馬限定重賞で2着に入るなど、母フリートーク譲りの勝負強さを見せています。フリートーク自身は1996年 1月27日をもって繁殖用途が変更されており、それ以降の消息は確認されていません。しかし、娘シングライクトークの娘、すなわちフリートークの孫にあたるシングウィズジョイが、2015年のフローラステークスを制覇するなど重賞勝ち馬となり、フリートークの血脈は孫世代へと受け継がれ、再び栄光を掴んでいます。

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