にっぽん縦断 こころ旅

にっぽん縦断 こころ旅：日本列島を自転車でつなぐ、心温まる旅番組

『にっぽん縦断 こころ旅』は、NHK BSプレミアムで放送されている人気紀行番組です。俳優の火野正平さんが、視聴者から寄せられた手紙に綴られた思い出の場所を自転車で訪ね、日本列島を縦断する様子が描かれています。

旅の始まりとスタイル

2011年2月、長崎を舞台にしたパイロット版放送を皮切りに、同年4月よりBSプレミアムで本格的に放送が開始されました。番組は、火野正平さんが愛車の自転車「チャリオ」と共に、日本各地の風景と人々との出会いを丁寧に映し出しています。

基本的には自転車での移動ですが、長距離移動や交通の便が悪い場所へは、電車やバス、船などを利用することもあります。火野さんの自転車に乗ったまま輪行（りんこう）も許されたルールとなっているため、多様な交通手段を用いて旅を続けています。

番組では、火野さんの自然体な姿、自転車車載カメラやハンディカメラで捉えられた独り言や鼻歌、そして下り坂を駆け抜ける際に発せられる「人生、下り坂最高!!」といった名言などが魅力として、視聴者を惹きつけています。

多様な放送形態と視聴率

番組は、朝に放送される「朝版」、夜に放送される「とうちゃこ版」に加え、「蔵出しスペシャル」や過去の放送を振り返る「プレイバック○○」といった様々な形態で放送され、多様な視聴者のニーズに応えています。中でも朝版は、連続テレビ小説（朝ドラ）のアンコール枠や先行放送枠に接続していることもあり、高い視聴率を獲得しています。朝ドラと合わせて、この時間帯の地上波民放番組の視聴率を上回ることも珍しくありません。

進行とエピソード

番組は、視聴者から寄せられた手紙を元に旅の目的地が決定されます。手紙を読み上げ、地図を広げてルートを確認し、自転車で目的地を目指します。火野さんとスタッフ4名は、基本的に一列で走行し、各地の人々と触れ合いながら旅を進めます。

旅の途中で出会う地元の人々との交流や、昼食シーンなども番組の見どころの一つです。火野さんは、食堂ではオムライスをよく注文し、喫茶店では濃いコーヒーを好んで頼むなど、個性的な食のシーンも楽しませてくれます。また、目的地に到着した際は「到着」ではなく「とうちゃこ」と独特の表現を使うことでも知られています。

困難な場面も数多くあります。激しい坂道では、一般車両の協力を得て坂を上ったり、火野さんの高所恐怖症から橋を渡ることを嫌がり、輪行に変更したりすることもあります。

長年の放送とイベント

2011年から放送されているこの番組は、毎年春と秋の2シーズンに分けて放送され、北上と南下を交互に繰り返しています。放送期間中には、収録休止となる週があり、その際は「蔵出しスペシャル」などを放送しています。

番組は1000回放送を突破し、視聴者参加型企画や、過去放送回の再放送、ディレクターズカット版なども放送されています。また、番組のサウンドトラックやDVDなどの関連商品も発売されています。

新たな展開と火野正平さんの逝去

2020年からはBS4Kでも放送され、2022年には月曜日の夜に過去の放送回を振り返る「にっぽん縦断 こころ旅 クラシック」が開始されました。

しかし、2024年、長年番組を支えてきた火野正平さんが腰痛のため撮影を中断、その後、惜しまれつつも75歳で亡くなられました。火野さんの最後の旅となった2024年春の旅は、多くの視聴者の心に深い感動を残しました。番組の今後の展開は未定ですが、火野正平さんの温かさとユーモアに満ちた旅は、多くの人の心に深く刻まれています。

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