腰痛

腰痛（Low back pain）

腰痛とは、腰部に痛み、張り、しびれ、または違和感を引き起こす状態を指します。この症状は急性、亜急性、慢性の三つのカテゴリーに分類され、急性は6週以内、亜急性は6から12週、慢性は12週を超えるものです。

発症と治療

ほとんどの場合、腰痛は発症から数週間のうちに軽減が見られ、多くの人は6週以内に症状が穏やかになります。しかし、急性腰痛の患者の一部は、1年後に慢性腰痛になったり、日常生活に支障をきたすこともあります。このため、急性および亜急性腰痛の治療においては、加熱療法、マッサージ、鍼等の非薬物療法が第一選択とされることが多いです。薬物療法では、非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）や筋弛緩薬が選ばれます。

疾病コストと有病率

腰痛は医療費や生産性の低下を引き起こし、実際、成人の9～12%が何らかの形で腰痛を抱えており、過去1ヶ月で腰痛を経験した人は約25%に上るとされています。特に先進国では、この割合はさらに高く、80%もの人が生涯に一度は腰痛を経験すると言われています。腰痛の発症は主に20～40歳代に見られ、40歳以上ではその発症率が増加します。

腰痛の種類

腰痛は大別すると、原因が明確な特異的腰痛と、原因が不明な非特異的腰痛に分かれます。非特異的腰痛は全体の85%を占め、多くの場合、脳の機能と関与しています。多くの発見がある中で、腰部の痛みが脳に伝わり、感情やストレスが痛みの発症に関与していることが示されています。

特異的腰痛の場合、例えば骨折や骨粗しょう症、がんなど、それぞれの疾患に対して特異的な治療が必要になります。これに伴い、診察や検査が求められることが多く、特に慢性腰痛の場合は更に深刻視されます。

現状と予後

腰痛の大部分は急性症状で、6週以内に自然に改善することが多いですが、慢性化すると予後は鮮明に悪化します。精神的な要因や社会的な困難も腰痛の慢性化を促す要因とされ、うつ病や職業の不満等が指摘されています。

運動療法や身体活動の維持は、逆に腰痛の悪循環を断ち切るのに効果があり、安静の保持が必ずしも良い結果をもたらさないことが示されています。運動によって得られる心理的効果も、腰痛の軽減に寄与しています。

結論

腰痛は多くの人々に共通する問題であり、根本的な解決は医学的アプローチだけでなく、心理面や生活習慣の見直しも重要です。知識の普及と適切な予防策が、より健康な生活の確保に繋がるでしょう。

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