ぬくもりの内側

『ぬくもりの内側』は、田中壱征監督が手掛けた、終末期医療をテーマにした日本映画です。千葉県のホスピスを舞台に、様々な背景を持つ人々が織りなす人間ドラマが展開されます。2014年に脚本第一稿が完成し、幾度の改訂と追加撮影を経て、2021年秋に完成しました。新型コロナウイルス感染症の影響で劇場公開が延期されましたが、2022年には厚生労働省推薦映画となり、文化庁主催の「文化芸術鑑賞・体験再興事業」として、全国各地の小中高等学校で学習上映が行われ、延べ1万人弱の生徒が鑑賞しました。

2023年7月に最終改訂版が完成し、同年11月17日に東京のイオンシネマ板橋で一般公開され、ロングラン上映となりました。2024年以降も、全国各地で特別上映やチャリティー上映などが企画されています。

ストーリー

物語は、看護師を辞めて故郷に戻り、ホスピスを立ち上げた榊原美穂を中心に展開します。彼女は身寄りのない人々のために献身的に働きながら、「今」をホスピス人生で頑張っている本当の理由を探し求めています。

各エピソードでは、様々な境遇の人々の物語が描かれます。

エピソード1： 孤児院育ちの新垣裕子は、28歳で余命宣告を受けます。彼女はウィーンにいるフィアンセに何を残そうとするのでしょうか。
エピソード2： 亡き夫の連れ子を育て上げた林佳子は、病気と孤独に苦しみます。彼女の行き着く先はどこなのでしょうか。
* エピソード3： 身寄りを失ったタイ人のレイと、高度成長期を生き抜いてきた森本功。孤独な人生を歩んできた二人が出会い、それぞれの人生を見つめ直します。

物語は、親子愛のバトンがどのように受け継がれていくのかを問いかけながら、榊原美穂がホスピスで生きる人々と触れ合う中で見出す真実を描き出します。

キャスト

白石美帆、三田佳子、音無美紀子、島田順司など、ベテラン俳優から若手俳優まで、実力派キャストが集結し、それぞれのキャラクターを丁寧に演じています。

音楽

森山良子の主題歌「家族写真」をはじめ、八反安未果、ジョニー大倉、美原奈緒など、様々なアーティストの楽曲が、物語を彩ります。特に、佐藤政志が作曲した「生まれて来た奇跡」は、オープニング曲と挿入歌として使用され、映画全体を温かく包み込むような印象を与えます。

『ぬくもりの内側』は、終末期医療というテーマを通じて、生きることの意味、家族の絆、そして愛の尊さを描いた作品です。観る人の心に深く響き、生きる勇気を与えてくれるでしょう。

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