ねこシス

ねこシス

『ねこシス』（neko sis）は、伏見つかさによる日本のライトノベル。
イラストはかんざきひろが担当。
『電撃文庫MAGAZINE』（アスキー・メディアワークス）にて、2009年1月号から2009年7月号にかけて連載。
電撃文庫より2009年10月に単行本が刊行。

ストーリー

本作は、現代日本を舞台に、妖怪である猫又の姉妹が人間社会と関わりながら暮らす日常を描いた三人称小説です。

猫又の一族である東雲家は、例外的に人間社会との関わりを保っています。
三女の東雲美緒は、長年かけて「人化の術」を習得し、人間として生きることを決意します。

しかし、それは猫としての生き方を捨てることでもありました。

姉である東雲かぐらは、美緒に7日間の人間体験を与え、辛い思いをするようなら猫に戻るよう諭します。

アニメやゲーム好きの次女・千夜子、人間大好きな四女・鈴といった姉妹に囲まれ、美緒は人間としての生活をスタート。

歩くこと、食べること…全てが初めての体験です。

猫でも人間でもない自分の立ち位置に悩む千夜子、親友・西園ひかりとの出会いを経て人間への憧憬を募らせる鈴、猫を虐待する人間との対決。

様々な出来事を通して、美緒は人間社会の複雑さを知り、自身の生き方を選択していきます。

7日間の人間生活を通して、美緒は何を得て、どんな決断を下すのでしょうか。

登場人物

東雲家

猫又の4姉妹。全員が人化の術を会得。

人間の町に住む最後の猫又一家として、人間3人、猫1匹の家族を装い暮らしています。

東雲 美緒（しののめ みお）
本作の主人公。東雲家の三女。トラ猫の猫又。
14歳(外見は10歳程度)。
のんびりとした性格で、誰に対しても丁寧語で話します。
人間に強い好奇心を持ち、人化の術を習得。
猫としての価値観が強く、人間社会の価値観に馴染めない部分も。

東雲 千夜子（しののめ ちやこ）
東雲家の次女。黒猫の猫又。
15歳。中学3年生。
アニメやゲーム好きのオタク。
辛辣な言動が多いですが、妹思いな一面も。
姉妹の中で最も妖力が強い。

東雲 鈴（しののめ りん）
東雲家の四女。三毛猫の猫又。
13歳。中学1年生。
快活な性格で、姉の美緒を溺愛。
家事全般をこなすしっかり者。
人間への憧れが強い。

東雲 かぐら（しののめ かぐら）
東雲家の長女。白猫の猫又。
姉妹たちの保護者的存在。
「猫魈」と呼ばれる猫又の始祖。
人間を嫌っているが、妹たちの意思を尊重し、見守っています。

その他の登場人物

南雲 かんな（なぐも かんな）
隠れ里に住む三毛猫の猫又。
かぐらと同じく「猫魈」の一匹。
美緒が人化の術を習得することに反対。

クロ
野良猫の黒猫。
地域の野良猫たちのリーダー的存在。
かつて千夜子が好意を寄せていた猫。

西園 ひかり（にしぞの ひかり）
美緒が通うことになった鈴の学級の女子生徒。
鈴とは小学校からの親友。
金髪碧眼の美少女。
サバサバした性格で、正義感が強い。

花村 桃恵（はなむら ももえ）
美緒、鈴、ひかりが通う1年1組の担任教師。
生徒からは「モモちゃん」と呼ばれている。
優しく穏やかな雰囲気。

用語・設定

猫又
本作における猫又は、猫に似た別種の生き物として定義されています。
尾が二股に分かれているわけではなく、人を食い殺すこともありません。
年齢を経るほど高い身体能力を持ち、妖術を行使することができます。
山の隠れ里で暮らしており、東雲一家以外の猫又は人間との交流を断っています。

人化の術
猫又が猫としての暮らしと引き換えに人間の姿を得るための術。
術を習得することで、10歳の人間の姿に転生します。
五感は猫の時とは全く感じ方が変わってしまいます。

他作品との繋がり

本作の主要登場人物である東雲千夜子と、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の主要登場人物である黒猫（五更瑠璃）は、外見や設定に共通点が多く、同一人物ではないかという考察がされていました。

作者の伏見つかさは、あくまで設定の流用であるとしていますが、スター・システム的な面白さを感じてもらえれば幸いであるとコメントしています。

制作背景

本作は「ネコ耳ホームコメディ」と銘打たれており、作者の伏見つかさは、猫の視点から見た人間の世界を描くことをテーマとしています。

当初はやや重い結末を予定していましたが、連載開始にあたっては優しく穏やかな雰囲気を前面に出すよう内容を改めたとのことです。

既刊一覧

伏見つかさ（著） / かんざきひろ（イラスト） 『ねこシス』 アスキー・メディアワークス〈電撃文庫〉、2009年10月10日初版発行、ISBN 978-4-04-868071-4

関連項目

* 俺の妹がこんなに可愛いわけがない

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