のぞみウィッチィズ

『のぞみ♡ウィッチィズ』解説

『のぞみ♡ウィッチィズ』は、野部利雄による日本の漫画作品で、1986年から1996年まで『週刊ヤングジャンプ』（集英社）で連載されました。当初は、演劇の世界を舞台にしたラブコメディとしてスタートしましたが、物語の途中から青春ボクシング漫画へと大きく方向転換しました。単行本は集英社ヤングジャンプ・コミックスから全48巻が発売されています。

ストーリーの変遷

もともと本作は、1話完結の読み切り作品として構想されていました。しかし、設定を変更し、連載作品として掲載されることになります。読み切り版の要素も残されており、ヒロインの江川望には、魔女を思わせるような神秘的な設定が盛り込まれています。

主な登場人物

司葉遼太郎（しば りょうたろう）

物語の主人公。最初は私立陽西学園高等部の1年生で、舞台研究会に所属していました。ひょんなことからボクシング部へ研修という名目で入部し、才能を開花させていきます。驚異的な動体視力「神の眼」を武器に、数々の強敵を打ち破り、アマチュアボクシングで無敗を誇り、ソウルオリンピック代表に選出されます。

オリンピックでは、目の負傷というアクシデントに見舞われながらも、決勝で逆転KO勝利を収め、見事金メダルを獲得。帰国後、プロに転向し、連戦連勝でWBA・WBC世界ライト級チャンピオンに輝きます。しかし、防衛戦を行わずに引退し、その後は大学生活を送っています。

江川望（えがわ のぞみ）

ヒロイン。遼太郎のクラスメイトで、隣に住んでいます。容姿端麗、頭脳明晰、運動神経抜群という才色兼備の持ち主です。遼太郎がボクシングでオリンピックを目指すことになったため、彼の一番の理解者として支え続けます。ハリウッド映画出演のために一時的に離れる時期もありましたが、最終的には遼太郎と婚約し、共に歩むことを決意します。

沢村俊介（さわむら しゅんすけ）

日本アマチュアボクシング連盟のコーチ。かつては「光和大の虎」と呼ばれた名選手でしたが、網膜剥離のために引退を余儀なくされました。作中では、遼太郎のコーチとして、彼の才能を引き出す役割を担っています。

エディ田所（エディ たどころ）

ボクシングトレーナーであり、実業家という二つの顔を持つ重要人物。数多くの世界チャンピオンを育て上げた名トレーナーとして知られています。遼太郎の才能に惚れ込み、様々な形で彼をサポートします。

福山優吾（ふくやま ゆうご）

遼太郎の最大のライバル。プロボクサーとして、すでに実績を重ねていました。WBC世界ライト級チャンピオンとなり、その後も二階級制覇を達成するなど、輝かしいキャリアを築きます。遼太郎との対戦では敗北を喫しますが、その後も世界王者として活躍を続けています。

江川志郎（えがわ しろう）

望の兄。作中には直接登場しませんが、物語の重要な背景を担っています。幻のモスクワオリンピック代表であり、ロサンゼルスオリンピックの代表候補でしたが、交通事故で亡くなりました。

映画版

1990年には実写映画が公開されました。監督は関本郁夫。主演は藤谷美紀、宮下直紀。

OVA

1992年にはOVAが発売されました。監督は杉井ギサブロー。声優には林延年（現：神奈延年）、鶴ひろみらが名を連ねています。

『のぞみ♡ウィッチィズ』の魅力

本作は、ボクシングというスポーツを通じて、主人公・遼太郎の成長を描くとともに、ヒロイン・望との恋愛模様、ライバルたちとの熱い戦いを描いた作品です。ラブコメディからボクシング漫画への大胆な転換、個性的なキャラクター、熱いストーリー展開など、様々な要素が組み合わさり、多くのファンを魅了しました。

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