はかま満緒

放送作家、演出家、そして長寿ラジオ番組のパーソナリティとして知られるはかま満緒（本名：袴充夫、1937年9月13日 - 2016年2月16日）は、昭和から平成にかけて日本の放送界で多岐にわたる活動を展開した人物である。

1937年、東京府に生まれた袴充夫は、慶應義塾大学を中退後、1957年に当時のラジオ東京（現在のTBS）に入社した。しかし、わずか2年後の1959年には同社を退き、フリーランスの放送作家として歩み始めた。フリーとなった彼は、噺家・林家三平のギャグ台本を手がけたことで一躍注目を集め、放送作家としての地位を確立する。1961年にスタートした日本テレビの人気番組『シャボン玉ホリデー』をはじめ、数々のテレビやラジオのコメディ・バラエティ番組の構成や脚本を担当した。特に、足掛け10年続いた『シャボン玉ホリデー』には後半の5年間深く携わり、番組制作に貢献した。また、彼は構成作家でありながら、人手が足りない際に自らコントに出演するなど、番組に「顔を出す」放送作家の先駆けとしても知られている。

後進の育成にも熱心で、自宅には「はかまお笑い塾」を開設した。ここからは、お笑いタレントの萩本欽一や車だん吉、脚本家の市川森一など、後に日本のエンターテインメント界を牽引する多くの才能が巣立っていった。

彼の活動の中でも特筆されるのは、NHK-FMで長年にわたり放送された番組『日曜喫茶室』のパーソナリティを40年間務めたことである。この番組では、毎回様々な分野の専門家や文化人をゲストに招き、知的好奇心を刺激する対話を通じて多くのリスナーに愛された。

その功績は高く評価され、1972年には芸術祭大衆芸能部門で文部大臣賞と芸術祭賞を、2001年には放送文化基金賞を受賞している。

また、自身の経験やユーモアに関する著書も多数出版しており、『頭を悪くする本 三枚目出世法』『オトナの歌集 渡世の仁義 お尻まるだしヘンな本』『私の面白会話術 あなたを変身させる演出法』などがある。テレビではNHK総合『脱線問答』、TBSテレビ『吉村明宏のクイズランチ』など、ラジオではTBSラジオ『東芝歌謡パレード』、文化放送『はかま満緒の朝から一緒に文化放送』、ニッポン放送『ミュージック天国』、ラジオ日本『はかま満緒の話のタネ』など、多くの番組に出演し、タレントとしても親しまれた。

2016年2月16日、東京都大田区内の自宅で倒れているところを家族に発見され、病院に搬送されたが、同日午後に心不全のため死去。78歳だった。放送作家として、教育者として、また個性的なパーソナリティとして、多方面で活躍し、日本の放送史に確かな足跡を残した人物である。

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