はぐろ (護衛艦)

はぐろ (DDG-180)：海上自衛隊の盾

2021年3月19日、海上自衛隊に配備された護衛艦「はぐろ」 (DDG-180) は、まや型護衛艦の2番艦として、日本の防衛力を強化する重要な役割を担っています。艦名は山形県の羽黒山に由来し、歴史ある艦艇の名を受け継いでいます。本稿では「はぐろ」の艦歴を中心に、その活動と能力について解説します。性能や装備の詳細については、まや型護衛艦に関する資料を参照ください。

建造から配備へ

「はぐろ」は、中期防衛力整備計画に基づき建造されました。ジャパンマリンユナイテッド横浜事業所磯子工場で2018年1月23日に起工、2019年7月17日には命名・進水式が行われました。その後、艤装工事、海上公試、低視認性化（ロービジ化）を経て、2021年3月19日に海上自衛隊に正式に引き渡されました。建造費は約1730億円にのぼります。

「はぐろ」の就役により、安倍内閣が2013年12月に閣議決定した防衛大綱（25大綱）で目指されたイージス艦8隻体制が完成しました。これは、日本の海上防衛力を大幅に向上させる大きな一歩となりました。

高度な防衛能力

「はぐろ」は、同型艦「まや」と同様に、共同交戦能力（CEC）を備えています。CECは、イージス艦や航空自衛隊の早期警戒機などとの情報共有を可能にし、より効果的なミサイル防衛を実現します。「まや」型は、従来のこんごう型やあたご型イージス艦よりも高い防空能力を有し、日本の艦隊防空の中核として活躍しています。

特に注目すべきは、日米が共同開発した新型迎撃ミサイルSM-3 block 2Aを搭載する点です。このミサイルは、従来のSM-3と比較して迎撃可能な高度が約2倍の1000キロメートルを超え、防衛範囲も大幅に拡大します。さらに、射程が300キロメートル以上とされるSM-6も搭載し、低空を高速で飛来する巡航ミサイルなどにも対処可能です。

ヘリコプター運用能力

「はぐろ」は、海上自衛隊のイージス護衛艦として初めて、着艦拘束装置を搭載し、飛行科員も乗組んでいます。これにより、ヘリコプターを常時搭載して運用することが可能となり、捜索救難や多様な任務への対応力が向上しました。

演習参加と実力発揮

「はぐろ」は、日米、そして多国間での共同訓練に積極的に参加し、その能力を向上させてきました。日米共同訓練、PACIFIC DRAGON、日米韓共同訓練など、様々な演習で弾道ミサイル防衛や情報共有に関する訓練を実施し、高い連携能力と実力を示しています。特に2022年11月にはハワイ州周辺でSM-3発射試験を行い、大気圏外での標的命中を達成しました。これは、日本の弾道ミサイル防衛能力の向上を明確に示す成果です。

2024年には、複数のヘリコプター墜落事故への捜索活動にも従事するなど、幅広い任務に貢献しています。また、フランス海軍との共同訓練や、RIMPAC2024への参加、PACIFIC DRAGON24への参加、日米韓共同訓練「フリーダム・エッジ」への参加など、国際的な連携強化にも大きく貢献しています。

今後

「はぐろ」は、今後も第4護衛隊群第8護衛隊に所属し、佐世保を母港として日本の防衛に貢献し続けるでしょう。その活動は、日本の安全保障にとって非常に重要であり、今後もその活躍に期待が寄せられています。

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