はしだて (特務艇)

はしだて（JS Hashidate, ASY-91）

はしだては、海上自衛隊が運用するはしだて型特務艇のネームシップであり、その艦名は日本の名勝である天橋立に由来しています。大日本帝国海軍以来の伝統を引き継いでおり、過去には松島型防護巡洋艦の3番艦や橋立型砲艦の1番艦として艦名が使われていました。これにより、はしだては日本の艦艇の中で3代目の同名を受け継ぐ存在となります。特にその豪華な内装と設計から、はしだては「海の迎賓館」や「迎賓艦」、「迎賓艇」としても知られています。

任務と機能

はしだての主な任務は、国内外の賓客を招いての様々な式典や会議を行うことです。具体的には、海上自衛隊を訪れた外国の将校団との会食や、メディア関係者との懇親会が含まれます。このような迎賓業務は、艦艇が戦闘を想定しない非武装の設計であるため、特に重要な役割を果たしています。

初代迎賓艇である「ゆうちどり」に続き、はしだても迎賓艇として新たに設計された完全新造艇であり、これにより迎賓以外の機能も備えた多機能艦艇としての役割を持っています。これまで日本の迎賓艇としては老朽化した艦艇の改装が行われていましたが、はしだては初めての新造艦です。

迎賓艇の系譜

はしだてに至る迎賓艇の歴史は次の通りです：

• - 「ゆうちどり」（1964年、元掃海艇）
• - 「はやぶさ」（1978年、元駆潜艇）
• - 「ひよどり」（1987年、元駆潜艇）
• - 「はしだて」（1999年、現在の艦艇）

構造と設計特徴

はしだては、海上自衛隊において初めて迎賓艇専用に設計された艦艇です。平甲板型の船体を持ち、船尾まで伸びる艦橋には多くの機能が集約されています。他の自衛艦艇とは異なる独特な塗装パターンを採用し、上部構造物と艇体の上端は白色に仕上げられています。

艦橋前方には搭載艇を装備し、必要に応じて使用が可能です。艦橋と煙突の間には約130人を収容できる立食パーティ用のスペースがあり、医療支援任務に対応するための施設や装備も整えています。また、会議室では大型ディスプレイを使って同時通訳が行える機能も備えています。

さらに、安易に利用できる医療支援機能や救難指揮機能も設けられています。阪神淡路大震災以降、特に重視されるようになったこれらの機能により、災害時にも即座に対応できる体制が整っています。

乗員

艦艇であるため、調理スタッフも自衛官から選ばれた者が務めています。その中でも「はしだて」での勤務は特に誇り高いものとされており、高水準の食事が提供されます。参加者からのフィードバックを受けて、即座に献立を変更するなどの柔軟性も求められています。

艦歴

はしだては、先代の迎賓艇「ひよどり」の老朽化を受けて計画されました。日立造船で1998年に起工し、1999年に進水。その後、横須賀地方隊に配備されました。地震発生後の緊急出港や帰宅困難者の輸送訓練なども行われており、災害派遣任務にも従事しています。

結論

はしだては、ただの迎賓艇ではなく、災害時にも重要な役割を果たす多機能艦艇として位置付けられています。その豪華な内装と機能的な設計により、国内外の賓客に対する日本の海上自衛隊の顔として活動し続けています。

もう一度検索