橋立型砲艦

橋立型砲艦について

橋立型砲艦（はしだてがたほうかん）は、日本海軍の砲艦として設計された艦級であり、1940年代初頭に登場しました。この艦型は、第一次上海事変を受けて建造計画が立てられ、従来の艦艇に比べてより強い戦闘能力を持つために武装が強化されています。また、河川だけでなく沿岸部での運用も考慮して、一定の航洋性も備えています。

計画と建造

橋立型の建造は昭和12年度に始まり、第三次補充計画に基づいて実施されました。仮称名は第十三号艦型とされ、議会に提出された際には砲艦甲と分類され、予算は1隻あたり330万円でした。物価の高騰を受けて昭和16年度には追加予算が承認され、最終的には1隻あたり約347万円に達しました。この艦型は「安宅」の代艦となることを目指し、大型で高い戦闘力を有する砲艦として計画されたのです。

要求された性能には、990ロングトンの基準排水量、速力は20ノットだったほか、延長可能な航続距離2,500カイリがありました。また、12センチ高角砲や25ミリ機銃、15センチ曲射砲を装備することで、実戦における生存性と攻撃力が求められました。

艦の設計

橋立型砲艦のデザインは「安宅」と同等の大きさに設定され、外洋での航行性能を向上させるために前部乾舷が高く設計されました。艦尾には余分な構造物を設けず、航海時には大量の海水バラストを使用して安定性を確保しました。これにより、波の高い外洋でも安定した航行が可能でした。

機関の詳細

船舶にはホ号艦本式缶が採用され、このボイラーは効率的な燃焼を実現し、圧力を持つ飽和蒸気を生成しました。主機関には高圧・低圧タービンが使用され、推進は2軸で行われ、425回転毎分で非常に効率的でした。

兵装と防御

兵装面では、艦首に単装の12センチ高角砲、艦尾には連装の25ミリ機銃が装備され、対空防御を強化しました。それに加えて、艦橋には防弾用の防御板が設けられ、外洋航行時にはこの防御板を取り外すことができる設計でした。

運用の実績

橋立型砲艦は、橋立と宇治の2隻が建造されており、どちらも昭和中期に太平洋戦争に参加しました。特に、橋立は1944年に南シナ海で沈没し、確認された最後の姿は戦争の過酷さを物語っています。

同型艦の情報

• - 橋立

- 1939年に起工し、1940年に竣工。
- 1941年から太平洋戦争に参加し、1944年に沈没。

• - 宇治

- 1941年に竣工し、同じく戦争に参加。
- 1945年には終戦を迎えました。

このように、橋立型砲艦は日本海軍において重要な役割を果たし、その設計や運用は時代背景に即したものでした。海軍の戦略の変化と共に、兵器の進化を象徴する艦級と言えます。

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