はちぶんぎ座

はちぶんぎ座（Octans）

はちぶんぎ座は、現代の88星座の中で最も新しい星座の一つです。この星座は18世紀半ばに創設され、航海や測量のために使用される八分儀をモチーフにしています。はちぶんぎ座は天の南極周辺に広がっており、その最も固有名のある天体、σ星は「ポラリス・アウストラリス」（南極星）と呼ばれていますが、その明るさは5.42等級と、肉眼で観察するにはあまり明るくはありません。

主な天体

• - σ星: 明るさは5.42等で、たて座δ型の脈動変光星です。天の南極に近い位置にあり、南半球だけから見ることができます。
• - α星: 明るさ5.13等という、ギリシア文字の中で最も暗い5等星です。
• - δ星: 土星の南極星である橙色の巨星です。
• - ν星: 4等星の中で最も明るい恒星で、はちぶんぎ座の中でも見つけやすい星となっています。

星座の由来と歴史

はちぶんぎ座の名称は、天体の高さや角度を測るために用いる八分儀に由来しています。この器具は1730年にイギリスのジョン・ハドリーによって発明されました。星座自体は、ニコラ・ルイ・ド・ラカーユによって18世紀半ばに考案され、最初の公式な掲載は1756年に行われました。彼の星座に関する図では、「反射式八分儀」という意味のフランス語名称が付けられています。

ラカーユが提案した時点では、はちぶんぎ座周辺は他の星座の一部として考えられていましたが、彼自身が天の南極に位置する領域を切り離して独自の星座として設定しました。その後、この名前は何度か変更されましたが、最終的には1922年の国際天文学連合（IAU）の設立時に、現在の名称と略称が正式に定められました。

日本における呼称

日本語においては、はちぶんぎ座という訳語が初めから使用されていました。これは1910年に改訂された天文学会の会誌にも記録があり、その後も「八分儀」という名称が維持されています。1952年には、日本天文学会が学名を「はちぶんぎ」と定め、現在でもこの名称が広く使用されています。

まとめ

はちぶんぎ座は、航海や測量の重要性を象徴する星座であり、南半球での観測が主となります。この星座の存在は、18世紀の天文学の進歩と、航海技術の発展と深く関連しています。星座自体にまつわる神話や伝説は存在しないものの、その背景には多くの歴史的な事実が隠されています。

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