はちみつぱい

はちみつぱい：日本語ロックの先駆者

はちみつぱいは、1970年代に活動した日本のロックバンドで、日本語ロックの黎明期を支えた重要な存在です。はっぴいえんどと共に、日本語でロックを表現する道を切り開きました。バンド名の由来は、ビートルズの楽曲「Honey Pie」の日本語訳から来ており、初期には「ハチミツパイ」と表記されることもありました。中心人物は、後にムーンライダーズを結成する鈴木慶一です。

歴史

結成から初期の活動

1970年、鈴木慶一はあがた森魚らと共に「あがた精神病院」を結成します。その後、「あがた森魚と蜂蜜麺麭（はちみつぱい）」と改名しますが、この時期のメンバーは固定されておらず、あがた森魚のバックバンドとしての側面が強くありました。翌1971年からは「蜂蜜ぱい」と名乗り、あがた森魚から独立したロックバンドとして活動を開始します。渋谷百軒店のライブハウス「BYG」を中心にライブ活動を行い、あがた森魚、岡林信康、西岡恭蔵などのアルバムレコーディングにも参加しました。

主要メンバーの加入と音楽性の確立

1971年8月、鈴木慶一、渡辺勝、本多信介の3名で第3回全日本フォークジャンボリーに出演したことが転機となり、和田博巳が加入。同年秋頃には、セッションを通じて武川雅寛が、オーディションを経てかしぶち哲郎が加入し、主要メンバーが揃いました。1972年4月30日の『ヤング・インパルス』出演時にはまだ「蜂蜜ぱい」表記でしたが、同年春頃に「はちみつぱい」へと改名しています。同年5月には春一番コンサートに出演。同年9月には渡辺勝が脱退し、ペダルスティールの駒沢裕城が加入。ヴァイオリンの武川と共に、はちみつぱい独特のサウンドを形成しました。

アルバムリリースと解散

1973年11月、ファーストアルバム『センチメンタル通り』をリリース。翌1974年5月にはシングル『君と旅行鞄（トランク）』を発表しました。しかし、1974年11月20日、山野ホールでの「はちみつぱい解散コンサート」を最後に解散。コンサートのラストナンバーは「塀の上で」、鈴木慶一の最後の言葉は「さよならロックンロール少年、ロックンロール少女」でした。解散後、鈴木、武川、かしぶち、岡田、椎名和夫はムーンライダーズを結成し、新たな音楽活動をスタートさせます。

再結成

1988年6月9日、東京都港区汐留のライブハウス「汐留PIT」で一日限りの再結成コンサートを開催。あがた森魚、斉藤哲夫、高田渡らがゲストとして出演し、はちみつぱいをバックに歌いました。1974年の解散コンサート同様、この再結成コンサートでも「塀の上で」を演奏し、鈴木慶一は「さよならロックンロールおじさん、ロックンロールおばさん」という言葉を残しました。2015年12月20日には、メルパルクホール東京で行われた鈴木慶一のミュージシャン生活45周年記念ライブで27年ぶりに再結成。2017年2月には、『センチメンタル通り［Deluxe Edition］』が発売され、同年4月26日には、あがた森魚＆はちみつぱい名義でアルバム『べいびぃろん（BABY-LON）』が発売。同年7月1日には、メルパルクホール東京で発売記念ライブが行われました。

メンバー

鈴木慶一：ボーカル、ギター、ピアノ
渡辺勝：ボーカル、キーボード、ギター（1972年9月脱退）
本多信介：ギター
武川雅寛：フィドル、ボーカル
和田博巳：ベース
かしぶち哲郎：ドラムス、ボーカル
駒沢裕城：ペダルスティール（1972年9月加入）
岡田徹：キーボード（1973年9月加入）
椎名和夫：ギター（1974年秋頃加入）

ディスコグラフィ

シングル

君と旅行鞄（トランク）（1974年5月25日）

アルバム

センチメンタル通り

その他

山谷初男 with はちみつぱい『山谷初男の放浪詩集/新宿』（1974年10月25日）
林静一・はちみつぱい『夜にほほよせ』（2009年7月25日）
かしぶち哲郎『自由なメロディー はちみつぱい〜ムーンライダーズ』（2009年10月10日）
* あがた森魚『あがた森魚とはちみつぱい 1972〜1974』（2013年5月22日）

はちみつぱいは、その短い活動期間にも関わらず、日本のロックシーンに大きな足跡を残しました。彼らの音楽は、現在も多くのファンに愛され続けています。

もう一度検索