はやぶさ (駆潜艇)

駆潜艇「はやぶさ」概要

「はやぶさ」とは、海上自衛隊に属する駆潜艇であり、ローマ字表記では「JDS Hayabusa」と称されています。その艦名は“ハヤブサ”に由来し、旧軍以来の艦名の伝統を受け継いでいます。具体的には、海軍の隼型水雷艇「隼」、鴻型水雷艇「隼」の名を持つ艦艇に続く、3代目の艦艇として位置づけられています。

建造経緯と設計

「はやぶさ」は、昭和29年度の海上自衛隊の計画に基づいて建造され、甲型駆潜艇7隻及び乙型駆潜艇1隻の計画の一部として設計されました。甲型駆潜艇においては、「かり」型と「かもめ」型の艇が存在していたなかで、乙型に相当するのが「はやぶさ」です。特にこの艦艇は、海上自衛隊初のCODAG（Combined Diesel and Gas）推進艇として、ディーゼルエンジンとガスタービンの併用が試みられている点が大きな特徴です。

「はやぶさ」に搭載されたガスタービンは、当時の防衛庁の技術研究本部によって開発され、三菱造船長崎造船所で製造されたMUK501型です。運輸省の練習船「北斗丸」に装備されたものと同じ型が搭載されています。ガスタービンの導入は当初不具合がありましたが、運用を重ねて性能改良が施されました。ディーゼル機関だけでも20ノットを記録し、ガスタービンを活用すると最大26ノットに達する能力がありました。

船体設計

「はやぶさ」は、高速走行に特化した設計を施されています。そのため、艦橋のデザインは「かり」型及び「かもめ」型と似通った外観を持ちながら、船体形状は大きく異なります。艦首から艦橋までの舷側には大きなナックルが設計されており、これは高速航行時の波に対する応じ方（凌波性）の向上を狙ったものです。また、船体幅も従来の艇より1メートル広くなっている点も重要です。

艦橋の後部甲板にはガスタービン用の大型煙突とその吸気口が配備され、さらにディーゼル機関用の小型煙突も設けられています。兵器としては、従来の「かり」型や「かもめ」型に搭載されていたものと同様の装備を備えています。

艦歴

1956年5月23日に三菱造船長崎造船所で起工し、同年11月20日に進水、1957年6月10日に正式に就役しました。配属先は大湊地方隊で、同年1月に第2駆潜隊に編入されました。興味深いことに、就役時にはガスタービンが未完成で装備されていませんでしたが、1962年にその搭載工事が行われました。この際、ガスタービン用煙突の延長工事も同時に実施されました。その後、「はやぶさ」は海上自衛隊の唯一のガスタービン搭載艇としての役割を担いました。

しかし1970年に入って、ガスタービンの中央軸を損傷し、その修理を行った結果、以降はディーゼル機関のみで運用されることとなりました。1960年3月には、第2駆潜隊が呉地方隊に移動しました。

1977年には、後部甲板の幅広い設計を活かして特務艇「ゆうちどり」の老朽化を受け、「はやぶさ」は特務艇への改装が決定し、特務艇(ASY-91)に種別変更されました。そして翌年1978年には、改装工事が完了し再度就役しました。

最後に、「はやぶさ」は1987年2月28日に除籍され、海上自衛隊の歴史に名を刻んだ艦艇としてその役割を終えました。

参考文献

• - 『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』（海人社、2004年）
• - 『丸スペシャル No.66 哨戒艦艇 駆潜艇/哨戒艇/魚雷艇』（光人社、1982年）

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