はんだごて

はんだごて：種類、選び方、安全な使用方法

はんだごてとは、はんだ付け作業において、はんだと接合部分を効率的に加熱するための工具です。電気式、電池式、ガス式など、様々な種類があり、それぞれに特徴があります。用途や作業環境に最適なはんだごてを選ぶことが、作業効率の向上や安全性の確保に繋がります。

はんだごての種類と特徴

1. AC電源式:

最も一般的なタイプです。ニクロム線ヒーターとセラミックヒーターの2種類があり、ニクロム線ヒーターは安価ですが、セラミックヒーターは発熱速度が約3倍と高速です。上位機種には温度調節機能が搭載されており、精密な作業に適しています。ニクロムヒーターは目標温度に達しても消費電力はほぼ一定ですが、セラミックヒーターは温度上昇に伴い消費電力が減少します。消費電力は10W～500W程度と幅広く、用途によって適切なワット数のものを選ぶ必要があります。精密電子部品用には10～20W、電気配線用には30～60W、金属工芸や板金加工にはそれ以上のワット数のものが使用されます。また、電子部品へのダメージを防ぐため、温度調整機能や絶縁処理、接地線が施された製品もあります。

2. 電池式:

コードレスで場所を選ばず使用できる利便性があります。主にセラミックヒーターが使用され、発熱速度は速いですが、一般的にAC電源式より最大温度が低く、こて先が細く熱容量が少ない傾向があります。USB給電タイプも同様の特性を持ちます。電池残量や品質に作業効率が左右されるため、予備バッテリーの用意が推奨されます。

3. ガス式:

プラチナ触媒を用い、コードレスで場所を選ばずに使用できます。外気温や使用ガスの種類によって温度が変動しやすく、ガス放出量を調整することで温度制御を行います。ガス放出音があり、触媒から熱風が出るため、換気の良い場所での使用が望ましいです。

4. 炭素棒式:

炭素棒に高電流を流して加熱するタイプです。

5. 超音波はんだごて:

超音波振動子によって金属の酸化皮膜を除去することで、はんだ付けを容易にします。アルミニウムなどの酸化皮膜の発生しやすい金属だけでなく、ガラスや太陽電池などにも使用できます。

こて先

こて先素材:

銅:安価で入手しやすい反面、耐食性が低く、定期的なヤスリ掛けが必要です。
真鍮:銅よりも熱伝導率が低く、耐食性にも大差ありません。一部製品に使用されています。
銅芯＋ニッケルめっき:銅より熱伝導率は低いですが、耐食性が高い点がメリットです。
銅芯＋鉄めっき:ニッケルめっきより熱伝導率はやや低く、価格も高くなりますが、耐食性が高いです。側面にクロムめっきやアルミ溶射加工が施されている場合が多く、耐久性は銅製に比べて10～20倍とされています。

こて先の形状:

ペン型、ナイフ型、先曲がり型など、様々な形状があり、用途に合わせて選択します。電気配線用は、プリント基板などの微小な接合部分に合わせて先端が細くなっています。

こて先のメンテナンス

銅製のこて先は酸化やはんだ中の錫との反応により腐食し、はんだのなじみが悪くなるため、やすりで研磨して先端を整形する必要があります。耐食性のあるめっき加工がされたこて先は、専用のクリーニングスポンジやワイヤーで汚れを除去します。やすりで研磨するとめっきが剥がれるため、避けるべきです。

こて台

はんだごてを置くためのこて台は、作業効率と安全性を高めるために重要です。ワイヤーを使ったシンプルなものから、大型で安定性の高い据え置き型まで、様々なタイプがあります。多くのこて台には、クリーニング用スポンジが付属しています。

安全な使用方法

はんだごての金属部分は高温になります。火傷を防ぐため、作業中は必ず柄の部分をしっかり持ちましょう。

まとめ

はんだごては種類、素材、形状など多様な選択肢があります。用途や予算、作業環境を考慮し、最適なものを選び、安全に作業を行うことが大切です。 こて先のメンテナンスも、作業効率と製品寿命を維持するために重要です。 常に安全を第一に、適切な使用方法を心がけましょう。

もう一度検索