『ばあちゃんの星』は、
1975年10月3日から同年12月26日までTBS系列で放送された全13話の
テレビドラマである。このドラマは毎週
金曜日の20時から20時55分にかけて放送された。ドラマの舞台は東京にある鰐淵家という下宿屋で、その主人公は鰐淵トラばあさんである。
物語は、鰐淵トラばあさんの周囲に展開する家族や下宿人たちとの日常の出来事をコメディータッチで描いている。特に、トラが孫のタカオや下宿人たちと共に巻き起こす騒動は見どころであり、視聴者を笑わせる要素が詰まっている。また、本作はTBSの人気ドラマ『
七人の孫』の「ばあちゃん版」を意識して企画された点も特徴的である。それに加えて、
樹木希林が当時の名である悠木千帆名義で主役を務めた初の作品で、脚本家の南川泰三のデビュー作でもある。
ただし、
視聴率は1桁台にとどまり、放送のたびに視聴者からの批判の声が寄せられたとされる。そのため、放送自体は苦戦を強いられたが、ドラマの内容には温かみとユーモアがあり、現代にも通じる家族の絆や笑いのエッセンスが詰まった作品であった。
キャスト
- - 鰐淵トラ(70歳): 悠木千帆が演じるトラばあさんは鰐淵家の中心的存在で、亡くなった夫・源平衛の思い出とともに家族を支える。
- - 鰐淵タカオ(20歳): 山田隆夫が演じるトラの孫で大学生。彼は同じく大学生の友人たちと共に部屋で様々な騒動を起こす。
- - 江藤(20歳)、新井(20歳)、今村(20歳): これらのキャラクターはタカオの友人たちで、部屋に集まっては楽しい時間を過ごす。
- - 鰐淵朝雄(46歳): 小池朝雄が演じるトラの次男。作詞家としての夢を持っているが成功には至らない。
- - 鰐淵久美(40歳): 水野久美が演じる朝雄の献身的な妻。
- - 鰐淵圭子(19歳): 秋本圭子が演じる秀才の女子大生で、恋愛模様にも焦点が当てられる。
- - 鰐淵れいこ(24歳): 風吹ジュンが演じる久美の妹で、少々おっとりとした性格を持つ。
- - 横山善太: 谷啓が演じる、鰐淵家に住み着く下宿人。
- - 光林寺住職: 嵐寛寿郎が演じるトラの相談相手。
スタッフ
このドラマの制作には、プロデューサーの
居作昌果、脚本家の
つかこうへいや南川泰三らが関わり、演出は服部晴治が担当した。挿入歌は主役の悠木千帆が担当しており、音楽面でも視聴者を楽しませた。
『ばあちゃんの星』は、当時の視聴者の心をつかむことができなかったものの、家族や友情の大切さ、日常の中の笑いを再認識させる作品であった。今でも多くの人々に親しまれる懐かしいドラマとして、記憶に残っている。