ひな白痢

ひな白痢（ひなはくり）について

ひな白痢は、鳥類に感染するサルモネラ菌の一種であるSalmonella Pullorumによって引き起こされる、主に家禽を対象とした感染症です。この病気は特にひなや幼鳥に多く、発症が軽度であっても致命的な場合があります。

日本における法的地位

日本では、ひな白痢は家畜伝染病予防法に基づき「家きんサルモネラ症」という法定伝染病として認識されています。具体的には、感染の対象となる動物は家鴨（アヒル）、七面鳥（シチメンチョウ）、および鶉（ウズラ）です。また、日本獣医学会の提言により、法的な名称が「家きんサルモネラ感染症」から「家きんサルモネラ症」へと変更されました。

感染のメカニズム

この病気は、卵の中での感染が主な原因となります。感染した親鳥が産んだ卵から、ひなが孵化するときにひな白痢菌に感染することがあります。感染が発生した場合、ひなは孵化してから2日から3日後に元気を失い、食欲が低下することが見られます。

しかし、ひな白痢の特筆すべき点は、特に強い症状が現れずに死亡するケースがあることです。これにより、飼育者が早期に感染に気づくことが難しくなります。死亡したひなの中には、外見上は健康そうに見えていたものも多く、こうした隠れた感染が感染拡大の要因ともなっています。

不顕性感染と保菌状態

ひな白痢に感染したひなは、その後不顕性感染に移行します。不顕性感染とは、感染しているものの症状が現れない状態を指し、感染者が見えない状態で病気を広めるリスクを増加させます。このような保菌状態にある動物は、他の健康な鳥に感染を拡げる可能性がありますので、特に注意が必要です。

予防と管理

ひな白痢は、飼育環境や管理方法を工夫することで感染を予防することが可能です。適切な衛生管理や健康状態の把握が重要で、定期的な健康チェックが推奨されます。新たに導入した鳥に対しては特に注意を払い、予防接種の実施が望ましいとされています。感染が確認された場合は、早期に隔離を行い、感染拡大を防ぐ措置を講じる必要があります。

参考文献

清水悠紀臣ほかによる『動物の感染症』や関連研究を参考に、この病気の理解を深めることが期待されます。

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