ひまわり (1970年の映画)

映画『ひまわり』概要

『ひまわり』(原題: I Girasoli)は、1970年に制作されたイタリア、フランス、ソビエト連邦、アメリカの共同ドラマ映画で、ヴィットリオ・デ・シーカが監督を務めました。本作は、戦争によって引き裂かれた夫婦の悲劇を描いた感動的なストーリーを持ち、主演としてソフィア・ローレンやマルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベーリエワなどが顔を揃えています。特に、日本ではローレン主演作品の中で最も愛されていると言われ、多くの観客の記憶に残っています。

作品のバックグラウンド

本作は、冷戦時代において、西側の映画製作チームがソ連で撮影を行った歴史的な作品でもあります。これは1964年の『イタリアの勇士たちよ』に続くものであり、当時のソ連での撮影は大きなニュースでした。実際、主なロケ地は、ウクライナのポルタヴァ州のチェルネーチー・ヤール村で行われ、多くの壮大なひまわり畑を背景にした映像が印象的です。

ストーリーの展開

物語は、第二次世界大戦後のイタリアから始まります。主人公ジョバンナは、行方不明になった夫アントニオを探し続ける女性です。彼女は、出征した夫の帰りを何年も待ち望み、失踪に関する情報を求めて関係機関を訪れる日々を繰り返します。ジョバンナの運命は、戦争によって離れ離れにされた恋人たちの象徴的な存在といえるでしょう。

愛し合う二人は、出征前に結婚し、短い結婚休暇の間に幸せな時を過ごします。しかし、戦争がその平穏を破壊し、アントニオは戦線に送られてしまいます。精神的な問題を抱えてまで帰国を望んだアントニオですが、運命は彼を苦しい状況に陥れます。

ジョバンナの旅

終戦後、ジョバンナはアントニオを探し、ソ連へ旅立つ決意をします。モスクワに降り立った彼女は、異国の地でアントニオの行方を尋ねるものの、思うように情報は得られません。彼女が見つけたのは、広がるひまわり畑の下で眠る多くの兵士たちのことでした。役人からは諦めるように言われますが、強い意志を持つジョバンナは夫を探し続けるのです。

彼女は数人の人々との出会いや交流を経て、ついにアントニオが記憶を失いながらも生きていることを知ります。その後、マーシャというロシア人女性に出会い、彼女の助けを借りてアントニオとの再会を果たします。しかし、再会した二人の間には深い溝が存在していたのです。

悲劇の結末

再会を果たしたジョバンナとアントニオは、愛し合っていた日々を思い出しつつも、お互いの状況の違いに心が引き裂かれます。ジョバンナは故郷に帰り、アントニオもマーシャと新たな生活を始めることになりますが、感情的な葛藤は残り続けます。

映画音楽と評価

本作の音楽は、著名な作曲家ヘンリー・マンシーニが担当し、主題曲は世界的なヒットとなります。『ひまわり』は、戦争の悲劇と人間の強さや愛の力を描いた作品として、今でも多くの人々に愛されています。

日本での公開

1970年に日本で初公開された本作は、その感動的なストーリーと映像美から多くの観客を魅了し続け、2020年には50周年を記念したHDレストア版が上映されるなど、現在でもその影響力は健在です。

このように『ひまわり』は、戦争を背景に人々がどのように生き、愛し続けることができるのかを問いかける作品であり、その普遍的なテーマは、見る者に深い感動を与えます。また、ジョバンナの強い意志は、現在においても多くの人々に教訓を与えているのです。

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