ひまわり9号

ひまわり9号の概要

ひまわり9号は、気象庁が開発し、三菱電機が製造を手掛けた静止気象衛星です。2016年11月2日にH-IIAロケット31号機で打ち上げられ、その後の気象観測において大きな役割を果たしています。ひまわり8号と同様の仕様を持ちながら、観測バンドのバリエーションが大幅に増えていることから、『静止地球環境観測衛星』との呼称も用いられています。主に日本および東アジア、西太平洋域における天気の予測や台風・集中豪雨の発生状況の監視、航空機や船舶の運行の安全確保、地球環境の監視を目的としています。

運用計画

ひまわり9号は、打ち上げ後に衛星軌道で待機し、2022年からひまわり8号と交代して運用を開始しました。運用の計画は2028年まで続き、次のひまわり10号へと交代する予定です。2022年6月23日の発表により、ひまわり9号が12月13日から正式に運用されることが決まりました。全体の製作費用は約340億円、打ち上げ費用は約210億円と見込まれています。

効率的な運用体制

衛星の運用においてはコスト削減を図るため、管制業務を民間事業者に委託するPFI方式が採用され、特別目的会社である気象衛星ひまわり運用事業（HOPE）がその業務を担っています。従来の埼玉県鳩山町にある通信所だけでなく、北海道江別市にも非常時の代替施設が設けられました。これにより、悪天候時の指示が円滑に行える体制が整えられています。また、衛星運用においては、指示回数が最大で1日576回に向上し、即応性が大いに強化されています。

高度な観測機能

ひまわり9号には可視赤外放射計（AHI：Advanced Himawari Imager）という最新のセンサーが搭載されており、これにより観測能力が飛躍的に向上しました。AHIは可視域および近赤外域、赤外域の合計16バンドを持ち、従来の衛星の5バンドから大幅に増えており、特に可視域のカラー画像生成が可能です。この機能を活かすことで、黄砂や火山の噴煙の監視なども行えるようになっています。

衛星からの観察頻度も大幅に向上し、従来の30分からひまわり9号では10分ごとに観測が可能となりました。特定地域に対する観測は2.5分間隔で行うことができ、その能力を利用することで、迅速な気象情報の提供が実現されています。また、水平分解能は従来の2倍となり、データ量はひまわり7号比で50倍にも増加しました。これにより、台風や集中豪雨の動向をより詳細に把握でき、火山灰やエアロゾルの分布情報も精密に取得できるようになっています。

衛星の性能

ひまわり9号の運用・観測に関しては、気象庁から公表されている情報に基づき、様々な性能指標が示されています。今後も、ひまわり9号は日本及び周辺地域における気象観測の重要な役割を果たし続けると期待されています。

もう一度検索