ひよ子

ひよ子：福岡県の名菓

「ひよ子」は、1912年に福岡県飯塚市の𠮷野堂で初めて生まれた和菓子で、その名は「ひよこ」を模しています。同名の株式会社ひよ子が製造を行い、この会社はひよこの形をした特徴的な餡まんじゅうを作り出します。

製品の特徴

ひよ子の主な材料は、白インゲン豆の大手亡から作られる黄身餡です。それを小麦粉や卵を混ぜて作った皮で包み、蒸し上げられます。この菓子の特徴的な形は、二代目の店主である石坂茂が「多くの人に愛される形」として独自に考案したものです。

製造過程は、かつては手作業で行われていましたが、現在では機械化が進み、レーザーを使った精密な仕上げが施されています。それでも、デパートなどのイベントでは手作りの様子を見ることができ、昔ながらの魅力を感じられます。

来歴と広がり

ひよ子の本場福岡では、長崎街道を通じて砂糖が手に入りやすかったことから、菓子製造が盛んでした。また、重労働を終えた炭坑労働者たちが甘いものを楽しむ文化も根付いていました。ひよ子は1957年に福岡市内に進出し、瞬く間に人気を集めました。その後、東京五輪を機に東京にも進出し、主要な交通の要所に店舗を設けたことで、東京銘菓としても知られるようになりました。

福岡発祥の名物であることが知られにくい場合があるため、パッケージには「博多」の文字を大きく掲げる工夫もされています。ひよ子をさらに広めるため、毎月14日と15日は「ひよこの日」として、商品を特にアピールしています。

限定商品とバリエーション

2012年にはひよ子の誕生100周年を記念し、季節ごとに異なる「季ひよ子」が福岡限定で販売され始めました。これにより、福岡では春の桜ひよこ、夏の茶ひよこ、秋の栗ひよこや芋ひよこ、冬の苺ひよこなどが楽しめます。一方、東京限定商品として紅茶ひよこやお芋ひよこなども販売されています。

また、「大のひよ子」として通常の五倍の大きさのものが特注で作られるなど、非常に多彩な商品展開がなされています。家族用の詰め合わせも人気です。これらの限定商品は非常に人気があり、オンラインショップを通じて福岡県外の人々でも購入が可能です。

経営と工場

株式会社ひよ子の本社は福岡市南区に位置し、工場は飯塚市などに点在しています。経営の一体性を保つため、福岡と東京の会社トップは同一人物が兼任する慣行があります。このような戦略的経営により、ひよ子は地域の名菓としてだけでなく、全国的にも知名度を上げています。

商標と模倣品の争い

ひよ子の形は、長い間商標登録されていましたが、類似品との争いが続いています。二鶴堂の「二鶴の親子」などが商標登録の有効性を巡って訴訟を起こし、最終的には特許庁にて登録が無効とされました。このように商標に関する議論は続いていますが、それでもひよ子の魅力は変わらず、多くのファンに支持されています。

このように、ひよ子はその美味しさと愛らしさで、これからも多くの人々に愛され続けることでしょう。

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