ひるのプレゼント

『ひるのプレゼント』：21年間愛されたNHKの昼の顔

『ひるのプレゼント』（愛称：ひるプレ）は、1970年4月6日から1991年3月29日まで、実に21年間にわたりNHK総合テレビで放送された長寿バラエティ番組です。月曜日から金曜日まで、毎日異なるテーマで構成された生放送番組で、多くの視聴者から親しまれていました。

衛星放送開始後の1984年5月13日からは衛星第1テレビジョン、1987年7月6日からは衛星第2テレビジョンでも放送され、その人気はさらに広がっていきました。年末には、『年忘れひるのプレゼント』と題したスペシャル番組が放送され、年末ジャンボ宝くじの抽選会の様子や『NHK紅白歌合戦』の最新情報なども伝えられました。通常版が放送されない土曜日や日曜日であっても、年末スペシャルは放送されることが特徴でした。

番組の歴史と個性的な面々

初代司会は飯窪長彦さんと山川静夫さんが務め、隔週交代で番組を進行しました。その後は、生方恵一さん、松平定知さん、宮川泰夫さんなど、当時注目を集めていた若手NHKアナウンサーたちが司会を引き継ぎました。

宮川泰さんが作曲したテーマソングは、番組を象徴する存在でした。一時期、シンセサイザーを用いたデジタル風の楽曲に変更されたこともありましたが、視聴者からの評判が芳しくなく、元の楽曲に戻されたというエピソードも残っています。番組の構成は松原敏春さんや喰始さん、演出は滝大作さんが担当しました。

番組の略称「ひるプレ」は、山川静夫さんが何気なく口にした言葉がもとになっています。当初は略称の使用に批判が上がり、放送総局長から注意を受けたこともありましたが、結果的には愛称として定着し、批判は収まりました。

知恵と工夫が光る演出

番組予算は当時としてはかなり少なかったため、スタッフと司会者たちは知恵を絞って番組作りに取り組みました。「ミクロとマクロ」を効果的に使い分けることで、限られた予算の中で豪華な演出と簡素な演出を織り交ぜて番組を成立させていました。

例えば、「長谷川一夫の5日間」のような豪華な企画と、コント55号による簡素ながらもユーモラスなコントを組み合わせるなど、バラエティに富んだ構成が視聴者の心を掴みました。出演者をからかうような演出も時折見られ、西城秀樹さん、武田鉄矢さん、松平さんらが画面では並んでいるように見えるのに、カメラを引くと武田さんと松平さんが台の上に座っているというような演出は、視聴者を楽しませる工夫の一つでした。

また、ある時、前番組のニュースが年末特別編成で短縮された影響で、番組開始時刻が5分繰り上がってしまったにも関わらず、そのことに気づかず、5分間、番組開始前のスタジオの様子（実際にはピンボケの椅子だけ）を放送してしまったというハプニングもありました。番組開始時刻になってからアナウンサーがその状況を説明するという、慌ただしい幕開けとなったエピソードも伝えられています。

特筆すべき特集週

いくつかの特集は、特に記憶に残るものとなっています。

1981年1月5日から9日にかけて放送された「初春歌い初め、ひばり節！」では、美空ひばりさんが5日間にわたって39曲を熱唱しました。この貴重な映像は、長らく現存していないと考えられていましたが、2006年に一般視聴者によって家庭用ビデオテープが発掘され、NHKアーカイブスの修復を経て、2007年にBS2で全編放送されました。

1978年3月27日から31日には、間近に迫った解散コンサートを前にしたキャンディーズが、NHK番組として最後の出演を果たしました。この時の映像の一部は、DVD-BOX『キャンディーズ メモリーズ FOR FREEDOM』に収録されています。

ビートたけしさんは、この番組に出演することは芸人にとってのステータスだったと語っています。たけしさんがツービートとして出演した際、昼の番組にもかかわらず、下ネタを連発したというエピソードも有名です。

番組の現存状況と今後の課題

1970年代の放送分については、放送用VTRが高価で編集も煩雑だったこと、著作権法の規定などから、番組の保存が容易ではなかったという事情があります。そのため、NHKアーカイブスに残されている1970年代の放送分は非常に少なく、NHKでは現在も視聴者からの提供を呼びかけています。

番組の貴重な記録を後世に残すためにも、関係者や視聴者の協力を得ながら、今後も資料の発掘と保存が続けられています。

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