ふたごの機関車

『汽車のえほん15 ふたごの機関車』

『汽車のえほん15 ふたごの機関車』は、1960年にイギリスで発行されたウィルバート・オードリー牧師による絵本シリーズの一環であり、特に低学年の児童を対象とした内容です。この巻では、4つの短編物語が収められており、それぞれが楽しい冒険や機関車たちの友情を描いています。挿絵はジョン・ケニーによって手がけられ、美しい色使いと親しみやすいキャラクターたちが読者を引き込みます。

本作は1974年にポプラ社から日本語訳が出版され、その後、特に2005年に新装版として再登場しました。2010年にはミニ新装版が発売されるなど、長きにわたって多くの読者に愛され続けています。

成立の過程と作品背景

『汽車のえほん』シリーズは、1945年から毎年続巻が出版されてきました。これまでの物語では、主に貨車に関するトラブルを通じてストーリーが展開されてきたのですが、本作では、ふとっちょの局長がスコットランドから貨物専用の機関車を購入し、さまざまな問題を解決しようと奮闘する様子が描かれています。この背景には、イギリス国鉄の近代化計画によって蒸気機関車が淘汰されつつあった時代が影響しています。

収録作品

本巻に収録されている短編は以下の4作品です：
1. ふたごの機関車（"Hullo Twins!"）
2. はんにんはどっち？（The Missing Coach）
3. いじわるなブレーキ車（Break Van）
4. みんなのだいひょう（The Deputation）

それぞれの作品が、機関車たちの冒険や仲間との絆を大切にしながら進行していきます。

登場機関車

本書では多くの人気キャラクターたちが登場しています。特に特徴的なキャラクターには以下のような機関車がいます：

• - ジェームス
• - ゴードン – 特に急行の「ワイルド・ノーウェスター号」で知られています。
• - ヘンリー
• - ダック
• - ドナルド と ダグラス – この2台は特にユニークで、イギリス国鉄の紋章が描かれたテンダーを持っています。
• - トーマス – 彼の支線にも急行客車が乗り入れる様子が描かれています。
• - エドワード と パーシー も登場し、お話に彩りを添えます。

挿絵では、ダグラスがトーマスとすれ違うシーンなどが精細に描かれており、リアリズムを追求したオードリー牧師の指示が細かく反映されています。

劇中の意地悪な車掌車

物語の中には意地悪な車掌車も登場し、オードリー牧師が初めて舞台として設定した「ノース・ウェスタン鉄道」という名称が明らかになっています。これにより、物語の世界観が一層深まることでしょう。

続巻の情報

ポプラ社の最初の翻訳版では全15巻として扱われており、1973年から1974年にかけて第1巻から第15巻が刊行され、その後1980年から1981年にかけて第16巻から第26巻が発行されました。ただし、2005年に出版された新装改訂版では第15巻までしか発売されておらず、2010年のミニ新装版では全26巻が揃っています。このシリーズは、世代を超えて愛され続けている作品として、今後も多くの子供たちに楽しんでもらえることでしょう。

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