ふたり鷹

『ふたり鷹』は、新谷かおる氏によって1981年から1985年まで週刊少年サンデーに連載された人気漫画作品です。同氏の週刊誌連載は本作が初めてであり、タイトルはあえてダサいものを意識して決定されたとのことです。

物語は、同じ日に同じ病院で生まれた沢渡鷹と東条鷹、二人の若者が主人公です。沢渡はストリートライダー、東条はレーシングチーム所属のサーキットレーサーとして異なる道を歩んでいましたが、ある事件がきっかけで出会い、やがて耐久二輪レースという舞台で互いに競い合うライバルとなります。共に世界の頂点を目指しながら、彼らの出生には隠された秘密が存在するのです。

漫画は全19巻の単行本、復刻版、文庫版が刊行されており、1984年度には小学館漫画賞を受賞しました。耐久二輪レースを本格的に描いた漫画作品の先駆けとして高く評価され、ラブコメやドタバタギャグ、そして人の生死や複雑な人間関係といった要素を盛り込み、幅広い読者層に支持されました。連載開始当初は人気投票で低迷していたものの、ストーリー構成の練り直しなどを通じて人気を上昇させ、週刊少年サンデーの看板作品の一つにまで成長しました。

主要登場人物は、主人公である沢渡鷹と東条鷹の他、沢渡の母親である沢渡緋沙子、沢渡の友人である花園明美、東条の妹である東条美亜、パトリシア・ウェラー、マリー・クレール・ベルモなどがいます。沢渡鷹は猪突猛進でアホっぽい性格ですが、レースにおける潜在能力は高く、東条鷹を凌駕することもあります。対する東条鷹は知的でクールな性格ですが、炎に対してトラウマを抱えています。沢渡緋沙子は息子を深く愛する母親であり、自身も高い運転技術を持つ人物です。花園明美は天才エンジニアとして、物語に重要な役割を果たします。パトリシア・ウェラーは、アメリカの大富豪の娘であり、陽気な性格ながら心の傷を抱えています。マリー・クレール・ベルモは、イギリスの名門チーム所属の女性ライダーで、東条鷹のパートナーとなります。個性豊かなキャラクターたちが物語を彩り、それぞれのドラマが展開します。また、作者の新谷かおる氏お得意のスター・システムも随所に見られます。最終巻には、ドラマ作品撮影後のメイキング取材風のオチが描かれているのも特徴的です。

1984年にはフジテレビ系列でテレビアニメ化され、全36話が放送されました。国際映画社の倒産により、予定されていたエピソードがカットされるなど、中途半端な形で終了した点が残念ですが、当時の人気アニメとして多くの視聴者を獲得しました。アニメ版では、古谷徹、塩沢兼人、藤田淑子など、豪華声優陣がキャラクターたちに命を吹き込みました。オープニングテーマ『ハートブレイクCrossin'』とエンディングテーマ『サヨナラを言わないでくれ』は陣内孝則が歌い、アニメと実写映像を組み合わせたオープニング映像も話題となりました。

漫画とアニメ版は、単なるレースものにとどまらず、人間ドラマや友情、そして出生の秘密など、様々な要素が絡み合い、読者・視聴者を魅了しました。現在では、ビデオソフトやDVD化はされていませんが、2017年には『ふたり鷹 ファンブック』がモーターマガジン社から発売されており、その人気は今でも健在です。

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