新谷かおる

新谷 かおる

新谷かおる（しんたに かおる、1951年4月26日生まれ）は、日本の著名な漫画家で、特に「エリア88」や「ふたり鷹」などの作品で広く知られている。彼は大阪府豊中市出身で、通信教育を経て大阪高等学校を卒業した。漫画業界での彼の活動は多岐にわたり、同人誌活動や数多くの作品を手がける漫画家としての顔がある。彼の妻である佐伯かよのは、同じく漫画家としても活躍し、多くの作品を残したが、2021年に死別している。娘の新谷摩乃はナレーターや俳優として活動している。

略歴

新谷は中学生の頃から漫画を描き始め、高校卒業までに漫画家としての道を志した。高校3年生の時には著名な漫画家、篠原とおるのアシスタントを務めながら、いくつかの作品を投稿している。もともとは航空機パイロットを目指していたが、色覚異常が発覚したことからその夢を断念。卒業後、航空貨物関連の仕事を経て20歳の時に上京し、本格的に漫画の道を歩み始めた。

1972年にりぼん漫画賞で佳作に選ばれ、1973年には『吸血鬼はおいや？』でデビューを果たす。その後、大和和紀や山岸凉子といった著名な漫画家のアシスタントを経て、同年に結婚した妻の佐伯かよのとの出会いや、松本零士のプロダクションでのアシスタント活動が彼のキャリアに大きく影響を与えた。1977年には『月刊プレイコミック』に持ち込んだ原稿が受理され、その後、数多くの連載が開始される。

代表作の一つ『エリア88』は1979年から1986年まで連載され、特に人気を博した。また、『ふたり鷹』は1981年から1984年にかけて連載され、これらの作品で第30回小学館漫画賞を受賞した。

2017年には66歳の誕生日を機に、本を休むことを公式に発表した。

作風

新谷の作品は、メカニックと人間の関係を描くロマンが特徴で、シリアスなテーマとユーモアを巧みに組み合わせることが魅力となっている。作品に登場するキャラクターは、しばしば人生や社会、戦争に関する深い哲学的なセリフを口にすることもあり、読者に強い印象を与える。彼はスター・システムを活用し、似た外見や性格のキャラクターを異なる作品に登場させることで、独特の世界観を確立している。

また、初期の作品には松本零士の影響が見られ、少女漫画家志望としての感性も持ち合わせている。彼のメカニック描写は単なる写実主義ではなく、独自の視点が反映されている。これにより、「少女漫画の感性と少年漫画の熱さ」を兼ね備えた強い個性を持つ作風が誕生した。

人物像

趣味が広範囲にわたる新谷は、バイク、カメラ、プラモデル、飛行機、スキー、車などを愛し、その知識や経験が作品に色濃く反映されている。特に、資料作りにも力を入れており、松本の作品に寄与する形でのキャラクター設計など、多岐にわたる役割を果たしている。彼自身、遅筆であることを認識しつつ、「納得のいく作品を描くこと」が重要だと語っている。

近年では、児童ポルノ法改正案への慎重な立場を示しており、創作物の規制に抗議する活動にも参加している。また、アニメーション監督の福田己津央は新谷のファンとして知られ、彼の作品からの影響を公言している。

新谷かおるは、漫画界において多くの影響を与え続けており、そのユニークな視点とスタイルで、多くのファンから支持されている。

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