ふるえて眠れ

『ふるえて眠れ』(原題: Hush... Hush, Sweet Charlotte)は、1964年にアメリカで公開された、サスペンスとドラマが絡み合う映画作品です。ベティ・デイヴィスとロバート・アルドリッチ監督という、1962年の『何がジェーンに起ったか?』でもタッグを組んだ強力なコンビが再び結集し、再び話題を呼びました。さらに、オリヴィア・デ・ハヴィランドやジョゼフ・コットンといった、実力派俳優たちが脇を固める豪華なキャスティングも魅力の一つです。

本作は、ルイジアナ州にある歴史的な豪邸、Houmas Houseで撮影されました。その壮麗な建物が、物語に重厚感とミステリアスな雰囲気を与えています。脚本はヘンリー・ファレルとルーカス・ヘラーが担当し、音楽はフランク・デ・ヴォールが手掛けています。彼の作曲したテーマ曲は、劇中でアル・マルティーノが歌い、その後パティ・ペイジによって大ヒットを記録しました。

興味深いのは、オリヴィア・デ・ハヴィランドが、当初シャーロット役としてキャスティングされていたジョーン・クロフォードの代役として出演している点です。クロフォードは、ベティ・デイヴィスやアルドリッチ監督との確執により、撮影を拒否して入院したため降板したと伝えられています。この裏事情も、映画の制作過程におけるドラマチックな出来事の一つとして語られています。

物語の中心となるのは、ベティ・デイヴィス演じるシャーロットです。彼女は過去に衝撃的な出来事を経験しており、そのトラウマに苦しみながら現在を生きています。彼女の従姉妹であるミリアム（オリヴィア・デ・ハヴィランド）、主治医であるドルー（ジョゼフ・コットン）、メイドのヴェルマ（アグネス・ムーアヘッド）といった個性豊かなキャラクターたちが、シャーロットを取り巻く複雑な人間関係を形成し、物語に奥行きを与えています。さらに、ロンドンから来た保険調査員ハリー（セシル・ケラウェイ）の登場により、物語は新たな展開を迎えます。

映画は、シャーロットの過去の出来事を回想シーンとして挿入しながら、現在起こる出来事を並行して描きます。シャーロットの父親(ヴィクター・ブオノ)や、かつての恋人ジョン(ブルース・ダーン)が登場するこれらの回想シーンは、彼女の現在の行動や精神状態を理解する上で重要な鍵となります。ジョンが何者かに殺害されたという衝撃的な事実が、物語全体に暗い影を落としています。シャーロットの過去の秘密と、現在彼女を取り巻く謎が絡み合い、観る者を最後まで魅了する、重厚でミステリアスな作品に仕上がっています。

『ふるえて眠れ』は、ベティ・デイヴィスの圧倒的な演技、豪華なキャスト陣、そしてルイジアナ州の美しい風景と重厚な豪邸を舞台にした演出など、多くの見どころを持つ作品です。そして何よりも、複雑に絡み合う人間関係と、過去のトラウマが現在に及ぼす影響を繊細に描いたストーリーは、観る者に深い余韻を残します。公開から数十年経った今でも、高い評価を得ている作品の一つと言えるでしょう。

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