ふるさと (モーニング娘。の曲)

モーニング娘。の代表曲『ふるさと』：楽曲、ミュージックビデオ、そしてその後の歴史

1999年7月14日、モーニング娘。の6枚目のシングル『ふるさと』が発売されました。この楽曲は、グループの活動において重要な位置を占め、現在に至るまで様々な形で受け継がれ、愛され続けている一曲です。

唯一無二の構成と制作背景

『ふるさと』最大の特徴は、安倍なつみがリードボーカルを務め、他のメンバーがコーラスとして参加している点です。これは、モーニング娘。の楽曲としては異例のことでした。ジャケット写真も、中央に安倍なつみが配置され、その両側に他のメンバーが並ぶ構成となっており、安倍なつみ主体の楽曲であることを明確に示しています。

プロデューサーをつとめたつんく♂は、この構成について「ポール・マッカートニーが一人で歌っていてもビートルズの曲であるように」と説明しています。つまり、ソロ曲でありながら、モーニング娘。としてのアイデンティティを保っている、という狙いが込められていたと言えるでしょう。

発売にあたり、テレビ番組『ASAYAN』では鈴木あみの「BE TOGETHER」との同時発売ランキング対決が企画されました。アルバム『セカンドモーニング』の先行シングルという位置づけもあり、注目を集める中、オリコン初登場5位という結果となりました。

北海道の大自然と東京の街並みの対比

ミュージックビデオは、前作に引き続き夏の雰囲気を醸し出していますが、単なる夏の情景を描いたものではありません。安倍なつみが北海道に帰省する様子をドキュメント風に撮影されており、コンクリートジャングルが広がる東京の雑踏と、美瑛町の大自然という対照的な風景が映し出されています。

さらに、各メンバーの母親が顔出しで出演し、メンバーの幼少期の貴重な写真も公開されています。撮影場所は、浜松町駅や五反田駅、京浜東北線・根岸線の209系電車内など、多岐に渡ります。

完成版ミュージックビデオには、当初、中澤裕子によるナレーションが冒頭に入っていました。しかし、これはテレビ放送のみで使用され、商品化の際にはカットされました。

多様なアレンジとカバー、そして新たな息吹

『ふるさと』は、その後も様々な形で展開されています。安倍なつみのソロアルバム『一人ぼっち』、市井紗耶香 with 中澤裕子名義のアルバム『FOLK SONGS』、中澤裕子のセカンドアルバム『第二章〜強がり〜』など、数々のアルバムに収録され、それぞれのアーティストの色を加えたアレンジで聴くことができます。

さらに、『ベストショット』というファンクラブ限定DVDシリーズでは、過去のモーニング娘。の曲を新しいメンバーがカバーするという企画の一環として、矢口真里、辻希美、高橋愛、新垣里沙がそれぞれ『ふるさと』をカバーしています。2005年のコンサートツアーでは、高橋愛ら後輩メンバーがカバーし、久住小春の最終オーディションの課題曲としても使用されるなど、世代を超えて歌い継がれています。

『ハロープロジェクト2002夏ONE HAPPY SUMMER DAY』では、童謡の『ふるさと』と繋げたバージョンが披露され、『ハロ☆プロオンステージ!2006日本青年館公演』では安倍なつみと柴田あゆみによって歌唱されました。また、別バージョンの音源を加えた12cm盤が、2004年と2005年にリリースされています。

このように、『ふるさと』は単なる一曲としてではなく、モーニング娘。の歴史、そして日本の音楽シーンにおける重要な一曲として、現在も人々に愛され続けていると言えるでしょう。

もう一度検索